Great Jackety

「(スーツ)ジャケットは肩できる」と言われる通り、ジャケットの良さ、つまり合うか合わないかは、肩にフィットするかどうかにかかっています。

「肩」と一言で言っても、肩幅に合うかだけではなく、肩の傾斜やアームホールの位置とその大きさなど、「肩回り」の部分にどうフィットするかが重要なのだと思います。

肩幅はちょうどいいけれど、アームホールが合わないとか、肩の傾斜が合わないとか「合わない」ジャケットは、なんだか腕が回しにくかったり、首元に襟が吸い付かないといったことがあって、そうした細部が「合ってない」印象を与えるんだと思います。

 

「合っている」ジャケットは、肩や首を動かしても「吸い付いてくる」襟や、腕が動かしやすい、Suitableと言えるジャケットでしょうか。これを実現するためには、たとえば、アームホールの大きさや位置を「攻めた」ものにする必要がありますが、やりすぎると「袖筒が細くて入らない」「腕の根本位置が胸に近すぎて窮屈」ものになりますし、安牌志向だと「袖筒が大きくて不格好」とかになってしまいます。
また、「製造面のコスパ」を考えると、「襟は2つのパーツで作る」など「直線的な、製造がしやすい方法」が良いですが、人間の体は曲線であることを鑑みると、それがSuitableなジャケットの作り方から遠ざかってしまいます。

曲線多く布を切ったり、縫ったり…こうしてSuitableなJacketは手間暇がかかり、値段が高くなっていくことになります。手縫いや一枚襟、毛芯などのディテールが注目ポイントになるのは、手間暇が身体に合ったジャケットづくりの指針になるからでしょう。

「良いジャケット」が「良いパンツ」に比べて高いのも、首~肩~胸の曲線ポイントが多く、それらにどこまで合わせていくかを考える必要があるからと言えそうです。

 

「良い革靴ブランド」の一つにEdward Greenが上げられますが、それは「足に合うけれど、かっこいいシルエットだから」でしょう。代表的なラスト202は「万人に合う」と言われていますが、だから格好良さを捨てているわけではないデザインが耳目を集め続ける理由でしょう。

 

ジャケットでいえばStile Latinoがそういった「攻めているデザイン」を作れるブランドなのかもしれません。

ダブルの襟は、とても大きく、チーフが見えないようなサイズ感。しかし「アリかナシか」と言われれば、ありなデザイン。むしろ着ている分には気にならないぎりぎりを攻めています。

 

しかしその真骨頂は型紙というか服のパターンにあると思います。アームホールのサイズ感と言い、その位置と言い、「寄り添っている」感があるものの、それが救急とは思えないバランス感覚で成り立っているため、「着ていて脱ぎたくならない、疲れないジャケット」を実現しています。シングルブレステッドだとぱっと見はオーソドックスですので、ほかのブランドと変わらないように見えますが、着心地の点では、ダブルと同じく、「攻めたパターン」を体感することができます。

ほかにも「独創的な生地センス」も人気の理由と言われますが、オーダーメイドやより高い既製服がある中で、「攻めているパターンを味わう」点ではStileLatinoは独特の地位を築いています。

 

 

Edward GreenのタッセルローファーBelgraviaは、一見オーソドックスなタッセルローファーですが、リボンの紐の編み込みや、甲のリボン紐をタッセル箇所以外ほぼ隠すなど、細部に注目すると唯一無二のデザインが個人的に非常に気に入っている点です。もちろん履き心地もブランドらしさ前回です。

Stile Latinoのジャケットも同じく、「今までなかったけれど、カタチにされるとほしくなる点」を内実ともに備えています。
ドレスクロージングの世界では「変わらないスタイル」と思われがちですが、「新しいクラシックスタイル」は、こういう革新とともに生まれていくのかもしれません。