His Last Shoe(s)

スーツは、ジャケットは、パンツは、ネクタイは、どれくらいあるのが適切なのでしょうか。ちゃんとその最適解を持ち合わせ、必要数で、着回しができる人は、あんまりこういった服に興味ないか、かなり客観視ができる方なのでしょう。

一回の外出で着れるアイテムはそれぞれ1つなのに、増えていき、気付くと、クローゼットを圧迫していく……この現象は、あるあるなのではないでしょうか。

新作で新しいモデルを見かけ、クローゼットにない柄のアイテムを見かけ……と増やさないためには、オタクスラング「沼」に陥らないために必要なことは一度「沼」に浸かり、要不要を見極めることが肝要かもしれません。

いろいろなアイテムを着ることで、「これは自分に合う・合わない」が確立されていくかららです。

そうならないためには、1つはオーソドックスな「定番」や、あるいは「着回しをよくよく考え」たうえで手に入れるのが良いというのはどこが聞いたかある文句かもしれません。

 

他方、クローゼットを圧迫する「一目惚れ」的欲求というのは、SSやAWの新作紹介や店員さんのオススメだけでなく、セール品を見て、ということがあると思います。

難しいのは、セール品は人気がないからセールになっているわけで、多くの人が「合わないかな」とか、「この値段ならいいや」と思った可能性が高く、一般的な「着回し力」は、高くないと考えられます。

 

しかし中には、着回しがしやすそうなアイテムもあり、例えば、ネイビースーツとか黒のキャップトゥとか、普段でも一定の人気がありそうなのに、セール対象であることがあります。お客さんに注目してもらうためなのか、あるいは定番ゆえに、すでに多くの人が持っているためスルーされて、対象となったのかは不明ですが、こうしたものは「元が取れ」安いと思います。まあ、世間的な視点は置いておいて、自分が着まわせそるか?は必ず振り返るようにしてます。

 

今回セールで手に入れたのは、Edward Greenのビットローファーです。最近の70〜90sリバイバルの流れか、ビットローファーが注目されていますが、所持しておらず、前々から欲しいと思っていたところ、有楽町でセールにかかっており、手に入れました。

EGブランドに詳しい人ならご存知のユタカーフというシボ革で、ネクタイありの服装から、もっとカジュアルなクールビズスタイルにも合いそうと考えています。

EGブランドは英国の街や人名が靴のモデル名となっていますが、このビッドローファーは、Althorpという名前で、故ダイアナ妃の生家であるスペンサー伯爵家の居城が由来のようです。スペンサー伯爵の嫡子はオルソープ子爵と名乗るようですね。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Althorp

ちなみに、オルソープはEGの工場のあるノーサンプトンから、10kmていどのようで「近い」と言えるでしょう。

BuckinghamやDukeなど、王侯貴族を想起される名前が、ローファーに付けられていることを考えると、このAlthorpも居城でのくつろいだシーンをイメージしているのでしょうか。

 

Last(木型)は184で、スリッポンやローファータイプの王道のカタチです。ただ、同じラストのBelgraviaは6.5で、Piccadilyは7で履いているにも関わらず、この靴は7.5を選択しました。7だとかなりギリギリ、7.5で足入れした瞬間に空気が抜ける「ジャストフィット」感があるためのチョイスですが、同じ木型でここまで変わるのか、ビットローファーの金具のせいなのか、はたまた試着時の足や体調の変化なのか、分かりませんが、EGの靴は同じ木型・サイズでもよくよく吟味が必要と感じました。

 

デザインでは、ビットローファーの金具部分だけでなく、ヒールに「ツマミ」があるのが特徴的です。タッセルローファーのBelgraviaにある意匠で、ローファーよりややドレスな靴だから、でしょうか。

細かいデザインのこだわりはありつつ、独りよがりでないバランスはこのブランドならではです。

定番のような靴で、これまで持ってなかったビットローファー。これを最後とできればと(いつも)クローゼットを見ながら思いますので、世間的な定番が「自分の定番」となれるよう履き慣らしていきたいです。