飽き屋の冒険

ドレスクロージングのアイテムは、新しく手に入れた時より、使い込んでいったほうが「モノになる」感があります。リネンジャケットの皺や、コットンシャツのヨレなど、着ている人になじんでいる感を与えるとともに、「ファッションアイテムとの距離感」が分かるようになってくる気がします。

 

最もそうした考えがあるのが靴でしょう。「革靴は買った時が一番かっこ悪い」なんてことが言われていますが、ブラシや靴用クリームで磨いていくことで、風格のようなものがでてきます。

2012年に購入したGrensonの外羽根クォーターブローグです。当時、グレンソンでは「マスターピース」と「フットマスター」という2ラインに分かれていました。Crokett&Jonesの「ハンドグレード」と「スタンダード」のようなもので、「マスターピース」ラインでは、EdwardGreenのような小窓にサイズが記載され、ブランドロゴが箔押しではなく、刻印となっています。

革質もグレードの高いラインとしてのものになっており、磨くと光りやすいもので、当時は伊勢丹のシーズン終わりのセール品として巡り合いました。

木型は、ややぼってりとした英国らしいフォルムのもので、なじむまでに小指箇所が痛くなり、フィットするまでにやや時間がかかった記憶がありますが、フィットしてからは快適です。

ダークブラウン~ブラウンくらいのカラーですが、より濃い色にしたいと考え、ネイビーやブラックの靴クリームで磨き、現在のようなムラ感を出すことができました。実はつま先を傷つけてしまったのですが、それもうまくごまかせたのかなと思います。

オールソールは2回しており、もともとはレザーソールでしたが、現在はラバーソールにしているほか、履き始めに、外羽根の「ベロ舌」の根本が「裂けかける」ことがありましたが、リペアショップで修理してもらって以来、不調はありません。

 

茶の紐靴は必須と言われ、手に入れたものの、おりしも足元はスリッポンやダブルモンクが大きな注目を集まっており、たびたび履くものの、位置づけは悩んでいました。

しかし、紐靴への再脚光や、カジュアルな要素を使ったブリティッシュアメリカンスタイルへの注目に合わせ、活躍できる「位置」が定まってきたように感じています。

 

ベージュのコットンスーツや、チェックシャツをインナーとしたジャケットスタイルなど、カジュアルな素材・柄には外羽根のアクティブなフォルムと、茶のカジュアルな色遣いが適しているように思っています。

「答え」を早く提示し、進めていくことが好まれるご時世ですが、「わからない」ままで、結論を出さず、10年感、付き合うことで、新たな発見で活躍の可能性が広がるのは、温故知新があるファッションならではかもしれません。