Laters:後から来たスエード熱

スエード靴は、雨の日便利というのは結構広まった話なのだと思うのですが、ビジネスウェアに無関心な方も、あるいは職場的になんでもおっけーなところもあって、決してトラッドファッションがみんなに必要とされるものではないさっこん。例えば、チェスターコートとジャケットの組み合わせではなく、ダウンとTシャツでも良いという時代において、他のファッションとは違うのは伝統性とそれゆえのスマートさが醸し出せる点ではないでしょうか。(ストリートファッションにはストリートファッションの歴史と文脈があるにせよ)

オンオフの境目が消えていく中、トラッドの着こなしが活躍するのはカジュアルスマートのようなところでしょう。Tシャツにジャケットというのは決してこの枠組みのスタイルではなかった思いますが、そのバランスの総体を見るとき、トラッド文脈が活きるのではないでしょうか。

もはやそれはトラッドでもなんでもないのかもしれませんが、個人的には伝統的な文脈に裏打ちされることでバランスを保つのに役立つときがあると思います。Tシャツにジャケットでフルブローグはありか?色は黒?茶色?素材はスムースレザー?スエード?ボトムズはジーンズ?チノパン?色は……などなど。

レザーだけど、カジュアルにも振れる。そんな素材がスエードでしょう。ブラウンのスムースレザーでもカジュアルよりですが、フランネルや、近年の起毛的パターンのカジュアルジャケットだと、「毛羽立ち」があるスエードのほうが、よりマッチするのではないでしょうか。

経年変化がないスエードに対して、メンテナンスによって「成長」があるスムースレザーだけが好きな時代もありましたが、オフィスカジュアルからカジュアルな格好まで幅広く対応できるのはスエードならではです。

初めて買ったスエードはグレンソンのライトブラウンローファーでしたが、その色合いから夏だけでなく、秋〜春でも活躍してくれる靴でした。そして、三陽山長のスエードチェルシーブーツはダークブラウンでゴム底なので、雨の日でもスーツでも活躍する靴です。クロケット&ジョーンズのビームス別注アンラインドチャッカブーツは暗いブラウンであることもあってタイをした格好にもカジュアルな装いにも通年使えるブーツです。こうしてスエード靴が使いやすい靴として靴箱の仲間入りをしていくことになりました。

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もちろん、あまりにもラフな格好であればトリッカーズのカントリーブーツのような存在感のあるものではないと難しいかもですが、スマートにカジュアル素材のジャケットを羽織りたいときなど、足元を引き締めてくれるのがスエードだと思います。