ULTRA BLUE

ドレスクロージングにおいて、靴はともかく、初めの1着としてオススメされるのは、ネイビージャケットかネイビーブレザーです。それは、ネイビーの色が、ほかの青系統の色や、茶色など多くの色合いに合うからでしょう。

一見すると黒にも見えるストイックさによって引き締まって見えますし、ある時は青みが深く表れる時があって、その表情の豊かさが、おすすめされる理由だと思っています。

しかも色濃い目の青:ネイビーと言っても、実は色合いはさまざまで、同じようなジャケットやネクタイなどアイテムをそろえてしまう方は、その微妙な青さの差に惹かれるからでしょう。

 

伝統色などと呼ばれる日本の色の呼び名では、紺色や藍色と呼ばれる色がネイビーに当たるでしょうが、もっと細かく、青藍や群青、鉄紺などと呼ばれ、細かくネイビーを指していたようです。

日差しのおかげで青みがかあって見えますが、実物はほぼ黒に見えるネイビーブレザー。ボタン合わせの下の方の色味が実物に近いでしょうか。

どう見ても黒じゃないか、という色でも、青の濃い色味であることが、こうしてみるとわかりますよね。

ちなみに、日差しや照明の当たり方では、最も青く見えることもあり、深い青の「懐の深さ」を感じることができます。

同じネイビーブレザー着用の時に撮影した画像で、インディゴのデニムスラックスとのあわせですが、この瞬間は、まるでデニムスーツのような色合いに見えます。こうした「表情の幅」は黒のアイテムでは得られないでしょう。

ちなみに、黒に見えるような青の色合いを「褐色(かちいろ)」というそうで、鎌倉時代の武士が好み、縁起を担いで「勝色」とも呼ばれていたそうです。現代の「褐色(かっしょく)」とはだいぶイメージが違いますね。

一見、無表情の「お堅い」色に見えますが、リネンという素材のせいか、様々な表情を見せてくれるブレザーです。

 

こちらは、どちらかというとネイビーよりもブルーに近い色合いのブレザー。伝統色でいえば「紺碧」とか「瑠璃色」のような色合いです。先ほどのブレザーに比べれば、フォーマル要素の高い格好は難しそうですが、日光や照明、光の関係では、このように見えることもあります。

「青藍」に近いような色合いで、同じブレザーなのに、さっきの明るいトーンからだいぶ変わりました。もともとも色合いが明るいので、カジュアルな装い向きではありますが、ふとした瞬間に、違う表情が見えるのは、青系統の大きな魅力で、着るのが昼なのか夜なのか、着用シーンによって幅を持たせることも出来そうです。

 

ネイビージャケットはすべて金ボタンのブレザーにしており、ジャケットと比べるとややカジュアルになる点と、ボタンを選ぶ楽しみがあります。

一見同じようだけれど実は違う、というのも面白いところだと思っています。