新橋日和

「新橋色」をご存じでしょうか。少し緑がかった明るい青色で、新橋=モダンなイメージがあった時代だから、モダンな色として「新橋色」と名付けられたそうです。

同じ青系統の色でも群青色や藍色といった落ち着いた色は和名が知られていますが、「新橋色」はあまり聞かなくなってしまった色だと思います。

 

新橋色の暖簾を掲げ、新橋と銀座の間にあるのお寿司屋さんが、「佐たけ」です。ビルやマンションに囲まれ、無機質な街並みの中に、鮮やかな青が映えます。

 

夜の部で、まず初めにいただいたのは茄子。繊細な器に入っており、お出汁の味が染みわたる一品。

 

続いて、タコとフグのお造り。タコは柔らかく、フグが歯ごたえが面白いです。フグは独自のポン酢がついてて白身の旨さをうまく引き出してくれます。

 

すっぽんの茶わん蒸し。まさかお寿司屋さんですっぽんに出会うとは思いませんでした。実も入ってますが、やはり出汁的な、地味深い味が伝わってきます。

 

ふかひれのお寿司。ふかひれと酢飯が合うのか?と驚きますが、食べてるとふかひれの優しい味、餡のまろやかな味の中に酢飯が際立っていて、唯一無二の味を体験。創作和食を食べているような気分になります。

 

ウナギの白焼き。素材の良さが伝わってくるだけでなく、焼き方も素材を引き出しています。

 

栗の揚げ物。こちらもふかひれと同じく、意外性を感じる一品。栗がコロッケのような形で揚げられており、甘さが引き出され秋を感じます。

 

握りパート。お店として有名なものに「熱いシャリ」がありますが、それを味わえる赤身。シャリが熱いと、マグロの脂が全面に引き出されてほかのお寿司屋さんの赤身の寿司とは違う味です。

 

同じくマグロの漬け。先ほどの赤身より温度は控えめで漬けらしさとともにマグロの脂のうまみを感じることができます。

 

青魚は、シャリの温度が低温で、ネタごとに細かにシャリ温度を調整しているこだわりがうかがえます。素材を引き立てているんですね。

 

キス。これも低温でしっとりと。

 

このお店のSignature、「ノドグロ丼」。焼き目を入れたノドグロの脂とシャリの酸味の組み合わせが心地よい。

 

イカ。シャリの温度低めで、パツパツながら、切れ込みなどにより、食べやすくなっているイカです。こうした本格お寿司の良いところは、素材そのものの良さもそうですが、うまく食べやすいサイズ感であったり、包丁での「仕事」によってクオリティが挙げられていることですね。

 

クルマエビ。こちらも海老!と、お寿司の定番ですが、クオリティが良き。

 

アジ。ネタの脂身うまさと薬味のミョウガ、そしてわさび。シャリがうまく調和している一品で、アジそのものより「うまい」と感じさせてくれます。

マグロのトロ。ここからまたシャリが暖かくなります。これも赤身と同じくシャリの温度を上げることで、脂のうまみを引きだたせていますね。

 

カンパチ。寒くなってきた季節を感じるひとつです。

 

ウニいくら丼。ウニの味わいが濃厚なのはもちろん、イクラが「玉子」らしさを感じる漬け方で、ネタは総じてネットリ、それをシャリが支えている小鉢です。最近はこういう「玉子」らしいイクラ漬けがトレンドなんでしょうか。

 

アナゴ。焼き方が今まであまり体験したことないもので、箸でつかむのも難しそうなホロホロ系のアナゴ。

玉子。

 

どれもおいしかったですが、「熱いシャリ」は体験しないとわからないもので、その価値ありだと思います。また伺ってみたいお店が増えました。