ULTRA NAVY

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突然ですが、これは何色に見えるでしょうか。ブルー?ネイビー?ネイビーだとしたら結構明るいネイビーですよね。ネイビーとブルーとの「きわ」にあるといってもいいかもしれません。

実際の色味は写真左上の肩付近(右肩)に近いですが、光沢があるせいか、蛍光灯のみだと、かなりブルーの色味に見えます。

 

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こちらがより近いですかね。先ほどの画像よりは、落ち着いたブルーネイビーと言えそうでしょうか。

 

BEAMS銀座店で、RING JACKETオーダーフェアがあり、注文したダブルブレストのブレザーがこれ。

オーダーの醍醐味は好みの生地を選択できること。バングブックと呼ばれる生地見本帳から、これは!と思うものをジャケット・スーツに仕立てることができます。

ネイビーブレザーは誰しも1着は持っていると思いますが、「カジュアル目のネイビーブレザー」があるといいかなと思い、選んだのが英国・ジョンフォートの生地。

 

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落ち着きつつも、明るめのネイビーブレザーとなってくれそう!というもくろみです。

 

「一張羅」という言葉は、「一着限り=これしかない服」の意味と同時に、「一着限り」から「替えがきかない、唯一無二の服」の意味も持ちます。日本人は、というと主語が大きくなっていますが、ここぞの「ハレの衣装」だけにお金をかけて、そのあとはクローゼットにしまっておきがち…という「一張羅」が少なくないように感じています。
大事な場面に力を入れて装うことは重要ですが、クローゼットの肥やしになっているだけではもったいないなと思います。せっかくのハレの日仕様でしたら、こだわりが詰まっているでしょうが、年に1回着るだけで、久しぶりのハレの日に引っ張り出したら、なんだか古臭く…ではもったいないのではないでしょうか。「ハレ:ケ」=9:1比率だったら、7:3とか6:4としてもよいのではないでしょうか。

 

閑話休題。すでに、オーソドックスなネイビーブレザーは持っていたので、よりカジュアルに近い雰囲気を出せるブレザーが欲しいと考えていました。ただ、ブルージャケットとなると使用シーンが限られるので、ネイビーの範疇で。ジーンズのインディゴ的なネイビーが、それこそジーンズやカジュアルな見かけに合いそうだ、と。また、ボタン数はシングルも捨てがたいですが、作り甲斐のあるダブルで、と考えていました。
そして、せっかく作るなら、登用回数が多いほうがいいだろうと、通年着れる生地がいいと考えていました。バングブックはいくつもの生地が載っていますが、生地メーカーごとにあるので、無数の選択肢があります。そのため、あらかじめイメージを絞っていたほうが迷いが少なくなる、というわけですね。

  1. やや明るめのネイビー
  2. 生地のウェイトは軽く(通年向け)
  3. ダブルブレスト

さて、まずはバンチブックを見まくります。一度は聞いたことある、あーなんか聞いたことあるかも、といった生地メーカーのバンチを見ている中、「お、このブラウンいいじゃん」「グレンチェックほしいなあ」となってしまうので、あらかじめ決めておいたほうがいいなと、改めて思いました。その中で見つけたのが、このジョンフォスターの生地です。ウェイトは200g台後半と、春夏向きの生地。今回は裏地ありしか選べないとのことでしたので、ちょっと暑い時期でも対応できそうです。

次にジャケットの形を決めます。シングルとかダブルとか。これまでBEAMSにて、RING JACKET制作のジャケット型紙のうちから選べたのですが、これまでスーツでしか展開していなかった、フィレンツェモデルと呼ばれるゴージラインの下がったシルエットが対象でしたので、こちらにしました。今後はともかく、今ジャケットでこのモデルを作れるのは、まさにオーダーならではです。
ちなみに、ジャケットは、前述の裏地以外に、サイドベンツ・ポケットフラップなしの仕上がりとなっていて、ほかのオーダーならチェンジポケットはじめいろいろカスタムできるところができないのは、このメーカーの人気ぶりを、逆に感じました。


実は、本生地選択の前に、良いなと思った生地のストックがなくなっていたそうで、オーダーしたいなら、早めに覗いておいたほうが賢明ですね。その生地はマットな記事でしたので、だいぶ印象違ったかもしれません。

 

それで、できたのが画像の通りのジャケットです。ゴージラインが低い以外には、フロントダーツがなく、わきの細腹の部分でウェストシェイプを出していて、フィレンツェのサルトのような趣きです。

 

光沢のある生地のせいか、状況によって生地の色味が変わって見え、まだ着こなせていないと感じています。

 

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日中屋外や暖色ライトの室内では、このような感じで見え、ブルーよりはネイビーに見えますが、蛍光灯の部屋では、1枚目や下の画像のようにブルーが強めに見えます。

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たとえば、次の画像はBEAMS FのRING JACKET製のリネン×モヘアジャケット。ほぼ黒に見える濃紺で、素材感ではカジュアルも可能ですが、色合いとしてはタイなどをしたほうがまとまりそうです。(太陽光を強めに拾ったせいか、黒というよりは紺らしさが表れていますね)

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こちらは、おなじレーベルの濃紺ブレザー。茄子紺というべき濃紺具合です。

こうした濃紺ブレザーはグレースラックスや、ワンウォッシュくらいのジーンズにタイや、冬ならタートルネックをして、というイメージがあります。色の濃さによるドレス度が高いところに合わせる、と言えばいいでしょうか。

 

今回のジャケットは明るいので、それよりは明るめのアイテムのほうがいいのかなと思っていますが、どういうものを合わせるのかは、このジャケットの色とともにこれから考えたいと思います。

 

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ちなみにボタンは、このようなちょっとマットなメタルボタン。明るめのネイビーと相まってボタンからはフレンチっぽさも感じますが、このフィーリングが合っているか試していきたいと思います。

フィッティングは、いまっぽく、ややゆとりがあるものの太すぎないアームホールをはじめ、さすがにサイズ感です。

 

千利休の弟子、古田織部が主人公の漫画『へうげもの』では、初めて利休の茶に招かれた織部は、初めて利休流のカスタマイズの茶道に触れ「決められた物事や所作に美しさを見出すものではないのか……?」と違和感を語ります。その後、「新しい」「体験し来た様式美とはまるで違う」と感服するのですが、同じようにドレスファッションも地涌度が高いはずです。だからこそ、国・地域や古着などをミックスしたコーディネートファッションが注目されているのかもしれません。

 

濃紺やグレーのような定番色もある一方で、明るいネイビーをどう「自分のもの」にするか考えていきたいです。