カンナカムイの食
札幌と言われて最初に思い出すのはなんでしょうか。雪まつり、時計台、カレー……
観光で訪れるのであれば、グルメは楽しみの一つだと思いますが、札幌ならばカレーやラーメンと言ったお手頃な価格のものからジンギスカン、そしてお寿司といったところでしょうか。
ですが、個人的にはフレンチやイタリアンもその土地ならではのお店があり、気になるところです。
ファッション雑誌のスナップ特集だと、国別のカテゴライズがあって、その次に都市別の……とあったりしますが、古い小説にある「○○生まれのおっとりした性格」「○○の気候を受け継いだ気性の激しさ」と同じように、国や都市・エリアよりは、個々人によって違うことなのかと思います。
なので、「シェフや板前の○○さんが店を構えてる都市」のほうが正しいのかもしれません。
その都市で店を構えるというのは、生まれよりは選び取ったものでしょうし。
話がそれましたが、北海の幸=お寿司も良いがフレンチやイタリアンにもそこでしか食べれないものが充分にあると思いまして、探したところ、この店を見つけました。
フレンチのお店で、普段は大人気のようですが、まだ往来が穏やかな時期だったせいか、そこまで混雑はしていないようでした。
アミューズのポテトチップス。北海道の芋を使った自家製で、軽やかな食感です。
1皿目は、かきえもんとキャビア。厚岸の牡蠣「かきえもん」とキャビアをココナツミルクで和えたもので、まだ汗ばむ陽気な時期に涼しげな雰囲気ながら濃厚な牡蠣が味わえます。
マリアージュのドリンクもスモーキーで、牡蠣と風味がマッチしています。
2品目は穴子と黒大豆のリゾット。ご飯ものの登場が早くて予想外でしたが、穴子の濃厚さとのバランスとして、ポルトソースの甘い感じと黒大豆の素朴さ、スパイスの刺激がマッチしていて全体としては、上品な炊き込みご飯を思わせる軽やかな味わいでした。
次はスープ。トマトとスイカのガスパチョということでとても赤い、これまた季節感あるもの。野菜のみでスープをつくっているとのことでしたが、旨みがあふれていて、これは他のレストランでもなかなか味わないスープです。
4品目は魚料理。鯛……とのことですが、目立っているのはウニ。鯛が淡白なお魚ですので、ウニに負けないかな、と思いきや食感で存在感を出してきて、ウニの濃厚さと鯛の甘さと歯応えを同時に感じられる面白い料理です。
たいてい、フレンチの魚料理だとムニエルとか火入れバランスやソースで存在感を出していることが多いイメージですが、冷製でつくってくるところにクリエイションのオリジナリティを感じます。
メインはビーフ!
そこにヤングコーン、まではよくあると思うのですが、ムール貝というのがとても珍しいですね。ヤングコーンの付け合わせがとてもおいしく付け合わせを超えている!とともに、貝と一緒にビーフを食べると味わいが変わってきて面白い味変も体験できました。
デザートは北海道らしいメロンベースですが、色合いとしてはラベンダーがややつよいです。
色はパッとしませんが笑、味はこれまで同様確かなデザートです。
ノンアルコールのペアリングをお願いしたのですが、個人的には料理は美味しくてもペアリングは「?」なお店も少なくありません。ワイワイペアリングには力を入れているけれど、とか、ノンアルコールでもウーロン茶ばっかりにならないよう、なんとなく流行っているノンアルコールペアリングだし……ということなのかわかりませんが。あるいはわたしのテイストレベルが低いだけかもしれません笑
しかし、ここのお店はペアリングとして、フードとドリンクのマリアージュされているのがわかるのがとても良かったです。
お店の名前はaki nagao
北海道で採れる海山の幸と、シェフならではのオリジナリティ、統一感あるドリンク。
ここでしか味わえない、体感できない、ぜひまた行きたい!と力強く思わせるお店です。