平和の祭典

La Paix、フランス語で「平和」意味しますが、日本橋にあるフランス料理店のお名前でもあります。

クラシックな、ソースが濃厚なフレンチとは違う、和のエッセンスや旧来のジャンルを超えたエッセンスが入った「モダンフレンチ」のお店です。日本橋のモダンフレンチとしては「ボンヌ・ターブル」が、見栄え良いサラダをはじめ、個人的には気に入っており、気になっていたのもの、伺えていないお店でした。

La Paixは、価格はワンランク上ですが、それに見合った、ひょっとするとそれ以上の体験ができるお店です。

食材同士の組み合わせの「相性」や調理方法の「選定」が極めて斬新なだけでなく、ペアリングも含め、ドリンクとの「相性」も一級の体験ができるところが、とても素敵です。雰囲気は、シックな雰囲気で席数は多くないので、カジュアルなオシャレご飯の集いではなく、記念日など大切な日のために予約していく店でしょうか。

ペアリングによるドリンク/フードの味わいの変化も感じられ、少なくない「なんとなくペアリングドリンクがある」お店とは一線を画しています。せっかく訪問される際は、ノンアルコールなりアルコールペアリングをすると、このお店のポテンシャルを万篇なく体感できると思います。この時はノンアルコールのペアリングをしました。

 

1品目は「シュー」で、「ウニと海苔」と「マグロ」の1つずつ。特に、ウニと海苔の海の味わいが口いっぱいに広がりつつも、底にあるあっさりクリームとシューで、口当たりは軽やかにしています。

あわせるドリンクは、イチゴとトマトのジュース。色は重そうですが、炭酸入りであっさり目です。ドリンクとフードが共同歩調をとっている形ですね。

 

2品目は、カボチャのポタージュで、濃厚なポタージュの中に、ウバ茶のクリームが乗っていて味を引き締め、スープの中に、お肉(ベーコン)が入っており、味わいのアクセントになっています。ペアリングはナシと緑茶を組み合わせたもの。ドリンク単体で飲むとナシの香りが強く、そのあとに緑茶がやさしく感じられますが、ポタージュを食した後だと、ナシより緑茶のほうが強く、濃厚なポタージュを、スッと後味牽かせないようになっていて、まさに「ペアリング」を感じることができました。

3品目は、カマスのタルタル。ナカダチカマスという種類を三浦から仕入れているそうですが、見た目を引くのは、ニンジンのムースと、そして透明なトマトジュレ。トマトの酸味とニンジンのさわやかな甘みがカマスにマッチしています。ワイン用ブドウのジュースにゆずが入ったドリンクは、そのまま飲むとゆずの酸味がしますが、フードと合わせると、まろやかなブドウらしさが全面に出てきます。

4品目はパセリがメインの一品。パセリとホタテ、グアンチャーレを包んだ揚げ物にエビ芋と牡蠣のソースがかかっており、パセリの苦味と旨味、ホタテの濃厚さがグアンチャーレのしょっぱさの中で際立っています。エビ芋と牡蠣も「濃厚」ながらそれぞれちがうレイヤーなので、味としてはまとまりを感じます。ドリンクは、甘酒とほうじ茶、米酢をブレンドしたもので、単体ではほうじ茶が印象深いですが、お皿と合わせると酸っぱさが際立ち、揚げやソースの濃厚な料理を洗い流すような対比した位置付け。

5品目は、甘みの強いキャンディーキャベツと白子、シャドークイーンというジャガイモのスライスにトリュフを乗せたもの。シャドークイーンと白子が似てるけど違う、まったり感のテクスチャーを、トリュフが香りで重くしつつキャベツがさっぱりさを引き出しており、見た目は映えませんが笑、さまざな味わいと歯応え、香りが楽しめます。ドリンクは昆布茶のアニス入れで、料理とは違った淡白さですが、ステキなクセの強さはどちらも変わりません笑

6品目はアンコウのソテー。ソースというよりスープとして鶏とアサリのお出汁がかかってます。アンコウのプリプリと脂のうまさを、お出汁でうまく引き立てて、全体のトーンはあっさり目にしており、カルピスをノンアルコールビールで割ったペアリングと同じテイストで仕上がってます。

7品目は、田村牛に大根のコンフィを添えて。火入れが絶妙でレアにはならないけど、赤身の旨さが伝わってきます。合わせるドリンクは、ほうじ茶とりんごで、リンゴの爽やかさが広がりるものが、お肉と合わせるとほうじ茶が主張強くなります。

最後にデザートとしてブラマンジェとイタリアのデザート、そして某お菓子を模したチョコレートスイーツ。

料理そのものが美味しいだけでなく、ドリンクと合わせることで奥行きを何倍にもするこだわりとセンスは体験の価値大アリだと思います。