(Maybe) In The Mood

革靴の製法について調べるといろいろありますが、少なくない方が「グッドイヤーウェルテッド製法」のものを持っているのではないでしょうか。

 

グッドイヤーウェルテッド製法はそこを取り替えれば、履き続けることができるので、アッパーの革の手入れを続けて「経年変化」を長く楽しむことができます。

ローリングストーン、「転石、苔を生じず」ということわざは、英国では「一ヶ所に留まらず、転々としていると、身につかない。良い結果を産まない」のネガティブなイメージですが、米国では「新しいところに行くことで錆びつかない」とポジティブなイメージだと言われています。

2通りの解釈のうち、英国流を尊びそうな日本の精神なのか、せっかく買うんだから……ということなのかはわかりませんが、グッドイヤーウェルテッドのもの、長く履かれる靴が好印象を与えてきたと思います。

 

かくいう私も、所有する革靴のほとんどがグッドイヤーウェルテッドのもので、底を張り替えて履き続けています。

 

ブランドもさまざまで、英国のものや米国のもの、日本製のものも存在感をだしており、私の持っている靴で一番多いのは、miyagi kogyoのものです。

山形の靴ファクトリーのブランドですが、現在、百貨店でも販売されていますが、私が持っているのは原宿や銀座に店を構えるWorld Foot wear Galleryでの展開モデルです。

詳細経緯はわかりませんが、時系列としては、もともとこのショップでの展開ブランド"miyagikogyo"から、各百貨店などに展開する"MIYAGIKOGYO"が始まったと記憶しています。

(プリントされているロゴが小さい・大きいで便宜上、小文字・大文字としてます)

 

どちらも「インサイドストレート」と呼ばれる足に合いつつ、かっこいい木型ですが、WFGのmiyagikogyoのほうが、MIYAGIKOGYOよりも、スマートな木型を使っており、悪く言えば、ラストが合わない人もいると思いますが、多くの人に会いやすい形だと思います。

 

初めて買ったのは2010年で、キャップトゥを。アーモンドトゥと言われるまるっこいかたちで、10年前から今も続く「気分」に沿った、普遍性のある形をしている靴です。

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当時から「ここぞ」というシチュエーションに履くようにしていましたが、そのせいか、変にトゥに傷をつくってしまい、補修する羽目に…

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が、傷を埋め、ワックスをかけ、磨き続けたら、ほぼわからなくなってしまいました。
いまは、靴の数が増え特に特別な時に履く靴になりましたが、すでに2回オールソールをしています。

 

上の写真の通り、コバの縫い間隔も短く丁寧なものだと思います。中身については、自分で見ることはできませんが、金属のシャンクや、革のカウンターなど、しっかりとしたものだと、ムック本で特集されているのを見たことがあります*1

 

もちろん、着用したいシーン・目的によりますが、ジャケットもコストダウンだけのために接着芯や、ペラペラの生地をつかったものよりも、適切な生地の厚みがあり、毛芯のものが長持ちし、かっこいいのと同様、靴も見えない部分までこだわりぬいているもののほうが長く格好よく履けると思います。

 

そしてmiyagikogyoは日本製なので、ジャケットなどと同様に、欧州製よりも安いのが良い点だと思います。ブランドによってはワンランク上の価格のものよりしっかりしている作りかもしれません。

 

個人的に日本製の靴が良いと思うのは、メーカー純正修理ができるので、グッドイヤーウェルテッドの「底」だけでなく、底と他パーツを結ぶ「ウェルト」の部分についても純正で修理できるという安心感があることです。もっとも、まだそこまで進んだことはないですが・笑

 

グッドイヤーウェルテッド製法といえども、アッパーが傷んでしまうと、どうにもなりません。そのため、底を張り替えるといっても限度がありますし、保管方法やあまり過度に履くとダメージが靴に泡われることもあります。

そうはいっても、靴は長く付き合えるものです。「おしゃれは足元から」ではないですが、「苔を生じる」ことが最も楽しめるファッションアイテムは靴だと思います。

 

miyagikogyoだけでなく、様々な日本製ファクトリーブランドが最も存在感があるいま、自分の趣向や足の形に合う日本ブランドを探されるのもいいかもしれません。

ビジネスシーンに合うキャップトゥやセミブローグなどをそろえようとしたとき、いきなり超一流品には手が出にくいので、「はじめの一歩」としてもいいかもしれません。個人的にはスマートな表革のフルブローグが欲しいのですね。

 

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2013年購入のブラウンキャップトゥ。2回オールソールしましたがまだまだ元気

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2017年購入のフルブローグ。Tuffソールというラバーソールが頑丈で冬の札幌など雨の旅行では最適




*1:詳細は『最高級読本vol4』をご覧ください