真夏の通り飴
秋冬物のクリアランスは年始くらいから1ヶ月程度の間に開催されるようですが、初夏物のクリアランスは6月から1ヶ月程度の間に開催されることが多いようです。季節はまだまだ続くもののショーケースの中身が次の季節へと移行するタイミングであり、ひょっとしたら給与体系の多くで賞与が出るタイミングなので、欲しいものに手が届きそうとか安いから買ってしまうことを期待している向きもあるかもしれません。
メンズ、特にドレスよりで外せないが、伊勢丹のメンズセールでしょう。サイズが限られてますし、それでも安くはないですが、エドワード・グリーンなんかがセールされていることもあります。時期は各クリアランスセールの後ろの方なので、他店舗セールを見つつ、何が出るんだろうと思う人もいるかもしれません。
セールで買う際には、それは価格が下がっていなくても買うべきであったか?と気をつけています。もともと欲しかったけど、予算的に見送ったもの、試したかった柄や色などは買っても良いと思います。しかし、欲しいサイズがないのに買う、欲しいブランドだからスタイルはビミョーだけど買う、こういう買い方をするとたいていタンスの場所を取るだけになってしまいがちです。やはり似合わないとか自分のファッションスタイルに合っていないということがわかってしまうのでしょう。LサイズがほしかったけどXLで、とか黒のプレーントゥが欲しかったけどコンビシューズで、とか自身が身につけようとしていたシーンと大きく違うものは手に入れても使いがたいものです。
今回買ったのはダブルブレステッドのジャケット。夏には見頃の重なりが多い分暑いですが、Tシャツの上のジャケットとしてシングルとは違った使い方ができると思い買いました。ダブルブレステッド、なんだか最近注目のジャケットスタイルです。
おお、空を抱きしめて
外出時必要なのが鞄。オフの日なら持ちたくないという人もいるでしょうし、オフィスと家を行き来するくらいならいらないでしょうが、クライアント訪問時たとえ本人は手ぶらに近くても鞄もなく出かける人はいないでしょう。
ナイロンバッグは丈夫で、リュック仕様のものなどは持ち運びが便利です。しかし、個人的にはレザーシューズと同じくレザーバッグのほうが「育っていく」感じがあって好きですね。また、リュックスタイルが個人的になぜか好きでない…….ということもあり、手持ちスタイルの鞄を使っています。
ブリーフバッグや、トートバッグ、はたまたクラッチバッグのような手持ちオンリーのものなど、いろいろありますが、オーソドックスなブリーフバッグともいうべきものを使ってました。
日本の鞄ブランドFujitakaのもので、A4も楽々入る大きさで中も仕切りが多く、使い勝手良いと考え購入。
個人的には、鞄や財布といったアイテムはネイビーで統一しており、探して見つけたのがネイビーとブラックのコンビの鞄です。ちなみになぜネイビーで統一しているかというと、靴のは着替えと同じく色を合わせるのが面倒……という単純な理由です笑 鞄や財布を毎日変えるのは面倒ですし、前の日に入れた資料を万が一入れ忘れたりしたら一大事……というリスクが発生するのもイヤだ、というしょーもない理由もあったりしますが。
おそらく正式にはこういった鞄が良いのでしょうが、提げひも鞄を持ったまま歩きながら打ち合わせをすることも多く少しカジュアルなバッグを求めることに。
色はネイビーオンリーのバッグのほうがカジュアルだけど、シンプルにまとまると考え、Aniaryのトートに。シンプルでジッパーで閉まるトートは意外に少ないのでしょうか。すでに同ブランドのトートを持っていますが、大容量の反面、旅行先などでは鞄の存在感がやや重いときもあり………よりコンパクトな横長にすることで使いやすくするようにいたしました。ブラウンのトートは乱暴に使っていたせいか?細部が剥げてしまっている箇所がありますが、5年使うことで味が出てきました。
Someone in the cloud
気温が高いものの、湿度が低くカラッとした日が続くと思いきや、梅雨入りが宣言され、雨の日が続くかシーズンがやってきました。
革底の靴を気にせず使うのもありですが、個人的にはラバーソールの靴を用意しておきたいものです。
ビジネス向きの黒靴で、ラバーソールのものはいくつかあるものの、ブラウンシューズ・スエードの類はほとんどありませんでした。
夏になり、冬より軽めな装い季節の季節ですし、すでに持っているフォーマルな靴の反対に位置する、ブラウンやスエードの、フルブローグや外羽根のような靴を探すことにしました。
今回、そうして仲間に入れたのがワールドフットウェアギャラリー別注のミヤギコウギョウシリーズのフルブローグ。いままでレザーソールしか展開していなかったブランドになりますが、それまでのレザーソールラインよりも安いラインとして今回展開しているようです。
名前は、ミヤギノハギ。夏の終わりに咲く萩の一種で宮城県県花だそう。まあ、ミヤギコウギョウがあるのは山形らしいのですけれど、名前繋がりなのか、派手な花ではない萩をフルブローグに名付けるとは、ベニバナと、シンプルなキャップトゥに名付けるのとは、ある意味一貫してるのかもしれません。
ソールはダイナイトソールではなく、オリジナルのTuff Soleというもの。履いてみて耐久性を試してみたいものです。
スエードはレザーソールの他のスエードシューズと同じく英国ブランドのもの。
ラストはキャップトゥや、ダブルモンクとおなじラウンドトゥタイプ。
雨の靴はやはり革が傷む傾向にあり、お気に入りの靴ではなく、やや履き慣れた靴をオールソールするタイミングで雨用に……なんてことが多かったです。しかし、雨の時こそ気分を上げるためにもお気に入りの装いができれば。
なお、ミヤギコウギョウのラバーソールシリーズはキャップトゥ、ダブルモンク、フルブローグ、クォーターブローグが展開されているようです。雨用なので、外羽根でもよいのではと思いつつ、ブランドのこだわりなのか紐靴は内羽根一本。クォーターブローグは表革のみのようですが、レザーソールでは茶のコードバンに縛られていたように記憶きているので!それが正しいなら黒復活なのかもしれません。
Fight with the blues
よくメンズファッションのテーマに上がるのが、スーツが作業着として支給だったら?という問い。反語的な、それではつまらないという仮定の問いなのですが、国民服もしくは世界的な衣装として誰もが1着は持ってそうなのがジーンズでしょう。
ジーンズのつまらなさと面白さは表裏一体です。似たようなチノパンとは異なる、アクの強い表情をしているからこそ面白さがありますが、それは着こなしとして同じに見えてしまうかもひれません。あ、この人もこの人もジーンズだ、とか。
しかし、細部を見て行くと同じようで違います。シルエットや、色合い、丈の取り方など、探し出すときりがない。
特にジーンズをどこまで育てるか、については人の好みがでるところでしょう。購入直後のスタートの状態が良い人もいれば色落ちを意図的にさせるため、洗ったり、ヤスリをかけたりする人もいると聞きます。トリッカーズのカントリーブーツのようにガンガン履いて育てられる魅力があります。
特に着こなしで一見できるポイントとして色合いが挙げられるでしょう。
色で大別するならばブルーとそれ以外のカラージーンズに分けられますが、ブルージーンズといってもネイビーとブルーで分けられます。やはり、ジーンズといえばブルージーンズですが、今年は明るめブルーの流行なのか、ネイビーよりもブルージーンズが流行りのようです。
ネイビーですと、ジャケットに合わせるようなフォーマル性が、ブルーですとジーンズの野趣らしさがでてくるように思えます。明るいブルーによりカジュアルさがウリなのか?今年は明るいブルージーンズをよくみる気がします。また、ネイビーですと暗すぎてネイビーのチノパンなどと変わらないようなイメージがあるのか、またはっきりカジュアルと表現するのならば、ジャケパンとしても明るいブルージーンズのほうが、良いという人もいるようです。
個人的にはロイヤルネイビーくらいの明度が好きなので、ネイビーのワンウォッシュのものをさらに2〜3回洗った程度が好きです。ネイビージャケットもカジュアルに使えるものは黒に近いネイビーよりは青が入って行く明るいものになりますが、ネイビー〜ブルーといってもさまざまあります。カジュアルのなかでもTPOがありますが、それに合わせてジーンズの明度を調節できると「一見わからないがこだわっている」クラシックなこだわりになると思います。
カジュアルなパンツとしてはジーンズのほかにもチノパンやホワイトパンツなどありますが、ジーンズだけに絞ってバリエーションを持っているのもすごいスタイルかもしれません。
ULTRA BLUE
メンズの代表的な色であるネイビーとグレー。
City of Stars:金沢
金沢、一言で言うとスケールの大きい都市、という印象でした。
土地面積の大きい場所といえば北海道でしょうが、札幌はたしかに平地広がる土地です。
しかし、金沢は兼六園や、その持ち主の居城金沢城の広さに圧倒されます。こうした広いところは札幌近郊では公園くらいなものでしょうか。
特に外せない観光場所として名前が上がる兼六園・金沢城・21世紀美術館は一箇所にあるわけでこの「金沢」の大きさに多くの人がふれてきたのではないでしょうか。
もしくは駅前の巨大な門を見てから行くとより一層こうした感慨を持つのかもしれません。
金沢の他の面に関しては、観光地が散らばっているのが面白いと思います。ひがし茶屋街、金沢城周辺、香林坊、近江町市場、武家屋敷はいずれも駅から歩くにはやや遠いが、バスなら数分といった星のように点在しています。それぞれこ観光地同士も歩くにはやや遠く、バスなら近いが、バスが混んでると難儀する、といった感じです。この微妙な距離間や、城や庭園の広さによって金沢ではけっこうな距離を歩きました。歩くことがマイナスとは思っていませんが、京都の東山や北山のような観光スポットが固まっているエリアがあるというよりは、スポットそのものが点在しています。
しかし、金沢の特徴は、そのスポットを現代まで遺しているだけでなく、金沢駅や21世紀美術館、裁判所などの現代の建築や文化を観光客に印象的に見せているあたり歴史的なひがし茶屋街・武家屋敷・金沢城・兼六園といった歴史文脈だけではない要素を出せている街だと思います。
Another Day of Stars:La La Landの夢
※この項は『ララランド(La La Land)のネタバレを含みますぞい。
この物語は、時代がいつなのだろう?と思うところが節々にあります。それは、まず第一におそらく画質や原色使いのファッションのせいなのでしょうが、プリウスに乗っていることやスマホをいじっていることを忘れれば、1930年代の設定と言われても不思議ないと思います。その最大の点は、セブの恰好でしょう。彼の嗜好がトラディショナルなジャズ好きだからか、彼のファッションも白と黒のコンビのフルブローグ、いわゆるスペクテイターシューズと呼ばれる靴で、トラディショナルの空気を感じます。シャツのいまどき珍しいレギュラーカラーで、ネクタイも細目とこれまたジャズが流行った時代の空気を感じるものに。戦前に特徴的な三つ揃えやサスペンダーが出てこないあたり、戦後の黄金期ファッションなのでしょうか。乗っている車にもこだわりが見えます。007がトラッドながらもトレンドも混ぜ込まれたルックスでハイテク武器を使うのに対して、セブは、トラッドそのものでしょう。
ファッションの色に関していえば、原色の多用は多く指摘されているところですが、たとえば、Someon in the Crowdのパーティーで女性陣が原色のドレスを身に着けているのに、男性陣はシャツもパンツもダークな色合いのものを着ており、青いドレスのミアと赤いドレスの話し相手のような個々人同士が対比になっている一方で、女性陣がカラフルの一方で、モノトーン(というかダークトーン)の男性と言う対比構造になっています。ちなみにセブはこのあとの邂逅で白シャツを着ており、パーティー男性との対比になっているのはないでしょうか。
また、セブの格好は白系か茶系の要素が入っていて彼のテーマカラーなのでしょうか。確かに車もブラウン系統です。
インテリアも作品としての(あるいは無意識の)こだわりがあるようで、姉との椅子についての口喧嘩からもその要素はくみ取れますが、ミアを含めた内装のインテリアとしていつの時代のものかわからないもので占められています。スマホで連絡をすることはあっても、TVを見ているというシーンが出てこないのは、TVなんて物語に要らないから、というもっともな指摘もわかりますが、薄型テレビを(それとわかるように)出さないことで、制作年2016年にとらわれない・ピン止めされないようにしている気がします。
あるいは、彼らの世界にあるメディアは、スマホと映画、舞台、そしてパーティーで会う人のみ、ということかもしれません。映画撮影がすぐそこにある世界に暮らしている一方で、TVドラマは登場しませんし、セブが有名になって来るメディア取材の媒体は雑誌なのです。これは彼らはTVを見ないということではなく、第一に街の中のメディアが必要ないからなのでしょう。つまり彼らにとって、メディアは映画撮影スタジオがある街に住む仲間との会話やオーディションの合否連絡の手段や、夢のステージやそれをつかむ手段("Someone in the crowd could take you where you want to go")でしかなく、両親や姉という血縁者を除けば街で完結しており、電話連絡やメールはしても、SNSやWEBサイトチェックはしないわけです。基本的な住環境が現代でなくても通じるあたりが、現代離れしていると感じるところでしょう。
セブとミアがカップルにとして危機を迎えるポイントは2点。セブが売れ出したことと、ミアが夢をあきらめたところにあります。この2点に共有しているのが、ロサンゼルスを離れること、です。街の重力というべき夢を見る同士でとしてつながっていた2人がバラバラになりそうになるのは、仕事のため、あいは夢破れてこの街を出ていかなくてはならなくなったからです。そのため、ミアの夢が叶い元の関係に戻ったかのように見える二人が終わりを迎えたのは、ミアがロサンゼルスを出てしまったから、かもしれません。
5年後、二人が再度出会うシーンで、突如ミュージカルが始まります。思い出のように見えるそれは次第にifの世界であることがわかります。これは誰の「夢」なのでしょうか。ミアに娘がいることがifでは息子になっていたところから、決してセブ一人の夢ではない気がします。(有名女優ミアの娘のことはエンタメ情報として紹介されていそうですが、セブは街で閉じている人なのですから、知っているでしょうか)それだからこそ、最後二人は、ほほえみ=あり得たかもしれないイマとそうではないイマを承認できるのだと思います。
La La Landとは「ロサンゼルス(LA)」「夢見がちな状態、夢見心地」を意味するようです。本作冒頭、突然のミュージカルで始まるわけですが、その非現実感「夢見心地」を味わい、ミアとセブのロサンゼルス各所でのミュージカル=夢ごこちを味わい、彼らの夢が現実となって双方に確認された際、ミュージカル=夢見心地の終わりとともに映画が終わる構成はまさにLa La Landそのものです。