復活の火

テレワークが加速すると、ファッションはどうなっていくのでしょうか。

9年前も「一気にリモートが加速し、通勤からは解放される」といった予測はありましたが、結局はそうはなりませんでした。

もちろん、SaaSは、クラウドサービスがコスト安くつくれるタイミングになって花開いたように、テクノロジーが一般普及タイミングまで追いつくことで起きるブレイクスルーもあるとは思います。

 

しかし、「人と人が会う」ことが重要というのは、”Stay Home”外出を控えて人と会わなくなった方には、それこそ身に染みてわかったことではないでしょうか。オンライン会議では対面で分かっていた機微など微妙な間合いはわかりにくいですし、生産性全体は決して上がらないと思います。(一方で、「無駄に」対面コミュニケーションが発生したが、言語化によって、各員のタスクを明確し、おのおののペースでやりやすい、という職場もあるかとは思います)

 

 

結局3.11のあと、テレワークの促進やフレックスは、社員の働き方に力を入れる会社だけでしたし、東京一極集中が止まることはありませんでした。

最大の関心点にして不明点である「どのていど、この状況は続くのか?」によって、これは変わってくるでしょうが、「新しいふつう」となりつつある現在の働きかたが「当たり前のふつう」になる前であれば、基本は元に戻したいという団体・企業が多そうです。

ただし、3.11以降、働き方は(少しかもしれないけれど)、より多様的になったように、「収束」となっても、多様な働き方への変革は変わらないのではないでしょうか。

 

そしてファッションも、よりリラックスしたスタイルで働こうというトレンドは変わらず、「新しいふつう」となっていくのではないでしょうか。ノータイOK、TシャツOK、スニーカーOK…といったこれまでの流れは加速されそうです。オンライン会議で、自室からノータイだったり、Tシャツ姿の上司や同僚を見た後に、社内業務の日にスーツ着なきゃ、とはならなそうですよね。

 

最近のトレンドと言いますか、ポジショニング戦略と言いますか「スーツはオンオフ関係ない人に着たい人が着る」という「仕事は着なきゃ!」から「スーツ着ている人はかっこいいよね」への転換があるように思えますが、「ビジネスファッションスタイルのよりカジュアル化」が進んでいけば、「仕事だからスーツを着なきゃ」という層はどんどん減っていきそうです。

ネクタイや革靴なんかも、スーツと同じく、人によってはより「要らないかも」となっていくアイテムでしょう。

しかし、変わらず装いとしてスーツスタイルを選択する人たち―国際政治やビジネスのとくに経営の関係した分野にかかわる人々―や、あるは個々人で、ネクタイをかっこいいと思ったり、革靴の紐を結ぶことに心地よさを覚える人は一定数いるでしょうから、興味関心を持つ人を広く育てていくことがより大事になるのかもしれません。

あるいは、他業界で言われるような「コスパのいいもの」と「高価格・高品質」の2種に統合されていくのかもしれません。

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「社会人になったら着なきゃ」の脅迫的な固定概念が薄まっていくなか、それ以外の、それこそエスタブリッシュメントが着ていたルーツを活かしたような在り方が確固としてあればいいのですが。