趣の果て 至上の時

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革靴愛を語る投稿がちょっと盛り上がっていたようで。

 

・革靴について https://anond.hatelabo.jp/20200203232919

・革靴の沼にハマりつつあるハードウェアエンジニアの備忘録 https://anond.hatelabo.jp/20200219225124

 

基本的にスーツもそうですが、革靴も、エスタブリッシュメントとかエリートいえばいいのか、いっちょ前の立身出生しそうな人が身につけるもので、ここ50年で「サラリーマン」が増えて、それ以前の「ホワイトカラー的な職種=スーツっしょ」が拡大解釈され続けてきているから、無理やり着用するものとしてルール化されているのではないでしょうか。

だからこそ、

 ・スーツ=堅苦しい
 ・革靴=窮屈

と認識が生まれる一方で、<本当の>スーツや本格靴は楽なんだよ!言説も生まれて、その分断には、逆方向へとキョリが生まれ続けている気がしてなりません。

階級や出自を表している服装としてスーツがあるのであれば、既成のファッションルールとそこからの固定概念に縛られないことを表すカッコウとして、「ジャケット+Tシャツ」のようなスタイルが確立されてきたわけですし、仕事のアウトプットも「相手との合意形成を得る」「秀逸なプロダクツを作る」「課題を探し出して解決法を出す」「人に興味・関心を持ってもらう」など職種によって評価ポイントは違うはずなので、必ずしも「立派な」ファッションが必要なわけではありません。

 

政治家やコンサルタントのような、人へのコミュニケーション・納得感を得てもらうことが重要視される仕事なら、スーツや革靴の意義は大きいでしょうが、一方で、「コピーライターがスーツ・ネクタイでコピーを提案すると信用度はむしろ下がる」みたいな話もあるわけで、結局はブランディングとして何を訴えていくか?になるわけです。

007やキングスマン、シャーロックやSUITSにあこがれてスーツを着たくなった人と、仕方なく着なきゃいけない人には大きな差があるはずなんです。

メンズファッションの着こなしを指南する本の多くは、紙幅の関係なのか、「そもそもスーツをちゃんと着るとかっこいいよ」としか言いいませんが、その前段が重要なのではないでしょうか。

 

 <メンズファッション指南本あるある>

 ・欧米の政治家の服装と日本の政治家の服装の違い
 ・ここが変だよ日本のメンズファッション
 ・本当に強い服装(こっから解説)

 

前述の通り、いまは自分が着たいものを着ていい時代のはずなんです。自由に、限りある金銭・時間・体力のリソースを何に分配するかは人それぞれなのですから、「スーツもジーパンも、革靴もサンダルも共存できる職場」でもいいはずなんです。逆にそれは印象のアウトプットが「●●なら正解」ではなくて、自分ですべて組み立てる必要のある怖い世界でもあるのですが。

(そして、ジーンズといっても3000円のジーンズと10万円のジーンズみたいな、さまざまな文脈があるわけですが、それはともかく)

 

そのうえで、スーツスタイルが好き、革靴が好きを作っていく、口説いていくのが、斜陽といわれるメンズファッション産業で健全かつ重要なのかもしれません。

 

 

ちなみに、私は革靴ではガジアーノ&ガーリングが最も自分の足にあっていると考えております。革靴の楽しさは買った時が最上ではなくて、履いて磨き込むたびに、「自分だけの一足」として深化していくことでしょう。アンティークのほうが価値があると思えるような付加価値をプラスできるところが、醍醐味(しかし、冷静になると市場価値はなくなっていくので倒錯なのでしょうが)。

そこで評価されるのが①自分の足に合うのか ②革素材がいいか ③デザイン 等なのですが、特にガジアーノガーリングは、かかとの小さい私の足に合うだけでなく、底に使う革素材が固く、長い距離を散策する私でもなかなかそこが擦り減らないところがとても気に入っています。

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自分のお気に入りの靴で、良い人生を。