真っ白なものはエイジングしたくなる

トイレやエレベーターといった機能性を重視するものは新しいほうがいいという人のほうが多いでしょうし、シャツもネクタイなんかもそう言えるでしょう。愛用しているとついついよく着がちですが、食べ物を落としたり、飲み物をこぼしたりすると汚れますし、シルクでできたタイの汚れを落とすのは至難です。

スーツのジャケットがやつれたり、パンツのクリースが消えたりするのは着用すればするほど、なので、あんまり頻繁に用いるといざというとき、あれれ…となってしまいます。一方で、とっておきの一着とすると着た時に借りてきた衣装のようなぎこちなさが出てしまったりするも事実…

購入したてのジャケットを「自分のもの」にするためには仕付け糸を切った後、着てみて家の中でゴロンとお茶を飲んだり、本を読んだりすると、着た時の感じがわかってきますが、こうしたステップを踏んでいると「自分のもの」オーラが出やすくなると思います。もちろんボロは困りますが、馴染んでいる感じが欲しいのがファッションです。

ツイードは長期着れる素材で最初は「固い」ですから、むしろ新品ではなく着倒す感じが魅力的な風合いを生み出しますが、こうした傾向はトラッド系のメンズファッションアイテムに多いでしょう。

 

時計はさておき、革靴はメンズファッションのなかで一番長持ちするアイテムだから、ツイード的な長年の付き合いを求めていくと独特の魅力が生まれます。磨き込み、独特の風格を獲得させたり、時にはアンティーク家具のように「エイジング」させることが好きな人も少なくありません。底がすりきれていたり、つま先がボロボロなんていうのはジャケットと同じく「野暮」に見えますが、ミディアムブラウンの靴を色ムラのある赤味のあるブラウンに磨き込んだりしたり、ライトブラウンの靴をダークブラウンのクリームで染めて行ったり。クリームを塗ってばかりでは革にダメージですので、履いて磨いて…の繰り返しになりますが、徐々に自分の思い描く色に染まっていく、というのが面白いところです。

こちらのGaziano&GirlingのAntibes、もともとはライトブラウンでしたが、購入後半年で、ミディアムブラウンの色合いとなりました。もともとライトブラウンの靴では足元が軽すぎると思っていたので、サフィールノワールのダークブラウンや、イングリッシュギルドのネイビーなどで磨いてきた結果、このような色合いになりました。

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もう少し、濃いブラウンにできればと思いますが、それは時間をかけていけば…といったところでしょうか。

良い靴はよいところに連れて行ってくれるといいますが、そのためのメンテナンスは欠かせません。