もたついてやりきれない:ダサさについて

ダサさ、とは何でしょうか。ロックスタイルや、ストリートスタイルが好きな人がネクタイやスーツスタイルを批判するような「ダサい」、というのはスタイルの違いによる批判です。そうではなくて、同じ(ような)スーツやジャケット、カジュアルならTシャツやジーパンを着ているのにも関わらず、ダサいと思う格好が存在するのはなぜでしょうか。

 

ひとつは一昔前の流行の柄を着ている、なんてことはあるでしょうか。シャツのボタニカル柄やドット柄のようなスタイルは、こういった点でははやりすたりがあることは否めません。しかし、スーツなどの柄はストライプ、チェックとそこまで時代によって奇抜なものが出てくるということはまれです。

 

あるいは、ジャケットのボタンの位置などの変更があります。3つボタン・2つボタンにもはやりすたりがありますが、それだけでなく、ボタンの位置の変更もあったりします。基本的に、1番下のボタンは腰ポケットの上限と同じ水平ラインにありますが、Vゾーンが深いものだと、それよりも下に、逆にVゾーンが浅めのジャケットだとそれよりも上に着たりするようです。一番下のボタンから10~11cm上に上に留めるボタン(2つボタンなら1つ目、3つボタンなら2つ目ですが、段返りだとここのみ留めます)がくるものでして、ここの間隔も若干狭くなったりするものの、間隔の変更よりもボタンの配列ごと上げ下げするのが多いようです。ここが極端だと、たしかにダサいというものもあると思います。しかし、現在既成で売られているスーツを見てみるとブランドやラインによってこのボタン間隔は上げ下げされており、こちらは流行りというよりも、スーツの中のスタイル、たとえばモードっぽいスーツであればラペルが細く、ボタンの位置も下であるといった、の選択になってきているように思えます。

 

だとするならば、ゆったりさ・タイトさといった観点ではどうでしょうか。近頃、ダブルブレステッドのジャケットを見かけるようになりました。ダブルのジャケットというと、ステレオタイプのイメージだといかつい人が着ている、だぼっとしたものを思い浮かべるでしょうが、近頃のものはタイトなものが多くなっており、丈も短くなっております。ここでダブルが流行っているから、ということで、30年前のダブルを引っ張り出すと古臭く見えます。

また、パンツの裾も長めにするのが好きです。スーツを買ってパンツの裾を直して尾もらうとき、特に指定しないと長めにされる傾向にあります。これは長めにするのが好きだったのかそれで気に入らない場合、短くするのは容易にできてリカバリーができますから、そういったクレーム対策なのか、原因や背景はよくわかりませんが、基本長めにすることが好まれるように思えます。しかし成長期の学生ではなく身長が目に見えて伸びることはないですから、好みがあるにせよ、とりあえず長めというのはやめたほうがスマートです。

そして、ジャケットやシャツも、ワンサイズ大き目をすすめる傾向にあることも。対と過ぎるとシャツは首が苦しかったり、ジャケットは窮屈な感じがするということでしょうか。これもクレーム対策なのかもともとそういうのが好きな時代の名残なのか不明ですが、スーツ=SUITsという文字通りぴったりするのがよいという観点からすれば、やや奇妙です。

大きすぎず小さすぎずバランスのよさは難しさですが、裾やシルエットが大きくて「もたつく」のはダサさ解消のために心がけたいポイントです。

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