甲乙の彼岸

Less is moreという建築界で有名な言葉がありますが、ごてごてした装飾ではなく、余計なものをそぎ落としたシンプルなデザインだからこそ、惹かれるものがあるのでしょう。しかし、それは手間ひまやコストを惜しんだ、というわけではないと思います。時計の「ノモス」「ユンハンス」といったドイツの時計ブランドが決して安くはない(もっと高い価格帯からリーズナブル、ということはできるかもしれません)が、人気が出るのもデザインがシンプルだからこそ、でしょう。
ダニエルウェリントンが人気があるのは、「時針・分針・秒針」だけのシンプルさで、リーズナブルという後押しもあって、大変多くの人に、求められたがゆえに、「みんな持ってる」が、マイナスの購入理由となってしまったのかと。しかしだからこそなのか、ダニエルウェリントン以降の流行り、というのは非常に見えにくくなっているのかと思います。

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メンズファッションでのフォーマルな恰好としてのスーツや、革靴デザインの基本デザインが変わらないのは、シンプルさゆえの変更の難しさなのかもしれません。とはいえ、ダブルモンクが生まれたのは1940年代と聞いたことがありますし、ガジアーノガーリングのAntibesは革新的なデザインだけど、それでいてシンプルで、普遍的と思えるシンプルデザインは、新しく増えないというわけでもなさそうです。(一方ジャケットやコートは顔に近いせいか、あるいは出尽くしてるのか新規デザインが新たにスタイルとして確立するのは難しそうです)


革靴で言うとCaptoeもシンプルさの極み。しかしてよくよく見てみるとシルエットがブランドによって異なるから、面白いのでしょう。

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すでにミヤギコウギョウの一足で充分かと思っていたキャップトゥ。縁あって、ガジアーノガーリングの一足を手に入れました。

ユニオンワークスで展開してるパンチドキャップトゥCambridgeがなぜかキャップトゥ仕様になっていたもの。

http://unionworks.blog118.fc2.com/blog-entry-2749.html


こちらのマイサイズがたまたまあってつい手に入れてしまいました。

もともとはOxfordというモデルですので、Oxbridgeともいうべきでしょうか。

GG06のラウンドトゥは上から見るとスクエアトゥよりに見えるが外めはクラシックなラウンドトゥという絶妙なバランスの木型。


これまで、エドワードグリーンなども合うかな、と思っていたところでしたが、この木型はまさにジャスト。キツイ、の一歩手前の緊張感で足に寄り添う一足です。

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個人的には足の曲がる位置のせいなのか、キャップトゥのキャップ部分にシワが入ってしまうことがあり、それが気になる(神経質……)のですが、これは少なくとも現在はうっすらシワが入る程度で、その問題もクリアしそうです。

(ちなみにWFGのミヤギコウギョウはキャップ部分にシワは入りませんでしたが、百貨店のMIYAGIKOGYOは入ってしまい……やはりそういうところもWFGラストの方が個人的にはあっている印象です)


すでにローファーAntibesを持っていましたが、こちらはハーフサイズ落としました。まだ、甲は開きますが、だんだん閉じていく、といいな。


履き慣れたミヤギコウギョウのベニバナと、高貴で足に吸い付くガジアーノガーリングのOxbridge。2足のキャップトゥで今後の重要イベントは乗り切って行けそうです。