赤いソックスの男

「赤い洗面器の男の話。ある晴れた日の午後道を歩いていたら、向こうから赤い洗面器を頭にのせた男が歩いてきました。洗面器の中にはたっぷりの水。男はその水を一滴もこぼさないように、ゆっくり、ゆっくり歩いてきました。」

 

流行の発信源というものはどこかわからないものです。カツ丼、餃子、オムライス・・・明治期以降に新たに登場した食べ物は今日までのおおまかな流れがたどれたりするのですが、「元祖」と「本家」みたいなお店が2箇所以上あったりして、結局どこの誰が開発したのかわからないものが多いです。海外から輸入されたものであっても、うちが日本に紹介しました、という店があったりしますが、よくわかりませんね笑

ただ、オムライスが広まったのは、いまでいうフォトジェニックな斬新で面白い見た目や流行の洋食であったこともあるでしょうが、一番はおいしいから、でしょう。

ガジェットなら、面白さや便利さ、ファッションならかっこよさ・かわいさが伝播の原動力であるところはいつの時代も変わらなさそうです。

 

チェスターコートやサイドゴアブーツなど、男女関係なく流行っているものは多くありますが、ここ最近見かけるのは、挿し色で赤いソックスを用いた黒のローファーやブーツスタイル。冬の重い色の衣料と黒のシューズの間に鮮やかな赤がちらりと見えるのはたしかに存在感があります。

もっとも、赤などの派手な色を挿し色としてソックスや体に活用すること自体は良くある手法の一つに過ぎません。しかし、ピンクだとか、イエローなどもある中で、黒シューズ+赤ソックスという同一の組み合わせばかりの装いを見ると、これは流行っているのだと思います。どのくらいの山・・・「富士山」クラスの流行なのか「公園のこやま」レベルなのかわかりませんし、これからどんどん取り入れる人が出てくるのか、次のトレンドへと移るのかもわかりませんが、「挿し色」をおのおの取り入れたのではなく、赤ソックス+黒シューズがセットのトレンドは今来ているのでしょう。

 

この挿し色のソックスは、黒シューズと濃い目のボトムズの組み合わせの中でこそ映えるものですが、そればっかりのために赤ソックスを買うのものなんだかもったいない気がします。そこで、他の組み合わせがあるのか?を検討したいと思います。

まずは定番の組み合わせ。濃い目のブルージーンズと黒ローファーの間に、赤いソックスを履いてみました。たしかに、鮮やかさがありますが、ソックスだけが赤いので、ド派手というほどではありません。ちなみにローファーはエドワードグリーンのピカデリー。オーソドックスな型のローファーで安定感があります。

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チェルシーブーツバージョンがこちら。ミヤギコウギョウのチェルシーブーツは丈が短いので、赤いソックスがより目立ちそうです。街中で女性がよく取り入れているのを見かけますが男性でも難なく取り入れられる組み合わせですね。

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こちらは、濃い目のブラウンスリッポン。チャーチのタッセルローファーとの組み合わせ。やや茶色と赤が近しい色ですが、だからこそ、なじむ気がします。かといってなじみすぎておらず、挿し色としての存在感があります。

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タッセルローファーよりも甲が高いダブルモンク。これも黒よりビビット感はないですが、新鮮に感じます。

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最後に、赤茶のローファー。ジョンロブのアンライドローファーはいろいろな場面で履きましたがこの組み合わせは初・・・ですが、ややなじみすぎている気もします。ローファーの革の色合いとかぶってしまっています。もちろん、違和感がある組み合わせではないですけれど、どちらかというと、ブラウンシューズと一緒に、ブラウンソックスを履いたような統一感のある着こなしになっているような、鮮やかさよりも一体感に近い印象を受けます。

 

当然ですが挿し色は、その周りの色と反発してこそ。グレースーツやネイビースーツの赤いタイが鮮やかに感じると同じです。そういったスーツの着こなしで、タイはグレーやネイビーだが、ソックスは赤で、黒のローファーだったりしたらかなり鮮やかですし、タイを赤にして「リンク」させるのもアリかもしれません。

流行からおのおのの着こなしにするためにはTry & Errorが欠かせません。

ちなみにソックスは福助、ジーンズはRedCardです。ソックスは百貨店で1,000円ていどで手に入れられますけれど、それだけの変化で着こなし全体が変わる気がします。