すべて真夜中の仕事人たち:ネクタイのこととか

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「夜景、キレイだね。」

そういうドラマの夜景シーンは、湾港が多いのでしょうか。山が多いのでしょうか。はたまたどこかの高層ビルのレストランでしょうか。夜景の明かりはオフィスビルの残業景色、とのネタはよく耳にしますが、残業の時のドラマ的なポーズでよく見るのが、ネクタイを緩める図。

もはや、マンガ的、記号的な「もうひとがんばり」の動作ですが、逆に考えると彼らはネクタイを締める職場に居るということです。

ネクタイ。この梅雨明けという今の時期を考えれば暑苦しくなるだけのキュークツなブッタイ。しかして、これがある/ないではスーツルックスの「締まり」も変わってくると感じます。

映画やドラマ、マンガのネクタイを締めているキャラクターからタイを取る姿を思い浮かべるとなんだか、間の抜けた印象にはならないでしょうか。あるいは、冬場はダンディな職場のオジサマがクールビズ期間にもっさり見えたりするのも、このタイの存在によるものが大きいのではないでしょうか。

もちろん、ノータイはノータイで肩肘を張らないで済みますし『Sherlock』のシャーロック・ホームズはほぼ常にノータイですが、カッコイイ身のこなしをしています。ですが、その兄マイクロフト・ホームズがトラッドな装い-タイに三つ揃えで、アンブレラと言いたくなる傘をステッキ代わりに持っている-姿は、トラディショナルな装いに憧れを持つ身としては、理想的な装いとしてうつるはずです。(逆にマイクロフト・ホームズに惹かれつつも、なぜかシャーロックのノータイや、ジョン・ワトソンのカジュアル姿もしっくる来ることに気付くのかもしれません。)

 

逆に考えたいのがシャーロックがシャツの第一ボタンまで留めている姿。ちょっと魔の抜けている感じがしませんか?

ノータイ→リラックス的といったことからも、ノータイルックと聞くとシャツの第一・第二ボタンを外した装いばかり想像がつきますが、上(第一ボタン)まで締めているとそれは、アンチリラックスということなのか、なにか物足りなさ=タイがない、といったことに行き着くのではないでしょうか。

タイがアンチリラックスの象徴とするのならば、やはりタイはビジネス・フォーマルなど格好つけが必要とされるの場面には必要なアイテムなのかもしれません。

 そうして考えてタイを見渡してみると、いろいろとあります、無地、キャラクターもの、チェック、ストライプ…

慶事によくつかわれるのが(日本だけのならわしと悪評高い)白のネクタイ、弔事が黒のネクタイ。スーツはともに黒無地。スーツは無地が多く、特に黒のタイも無地が多いように、無地=ソリッドであることはフォーマル性の高いものです。

そのため、無地のタイが格の高さで言えば一番高いといえます。そのなかでも、スーツと同じく、一見すると黒に見えるようなネイビーや、グレーが格式高いむきのようです。ホワイトシャツや薄いブルーシャツに無地のネイビースーツ、そしてネイビータイという装いや、英国や仏国の首脳でよく見られる装いです。スーツの装いとして最も格式高いこの格好、simple is bestを体現しているといえますが、これを、一介のニホンのサラリーマンがやってしまうと、理解のない方々には「喪服的」と映りかねません笑

そのため、ネイビーソリッドタイの明度を明るくするなどの「対策」は必要かもしれません。ニットタイであると素材がカジュアルなため、そう思われることは少ない、でしょうか。

次にフォーマル度合いが高いとされるのが、無地の次に無地に近いもの、ドットの小さいドットタイとなります。その次がドット以外が規則正しく並ぶ小紋タイ。ストライプ……となっていきます。

よく国際的にはストライプはNGと耳にしますし、そうなんでしょうが、日本ではフレッシュなイメージがあるのも確か。日本国内でなら、その辺は日本スタイルとして装うのもありではないでしょうか。

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ちなみに個人的な所有ネクタイはほとんどブルー〜ネイビー系ばかりです。同じようなスタイルに行き着いてしまう人間なのですが、それを貫けばスタイルとなるでしょうか。

布切れ一枚であることは確かですが、ポケットチーフと同じく、わずかな面積が変える装いの世界です。