装物語:『相棒』相棒たち

杉下右京がトラッドなファッションに身を包むとしたら、その反対のアメリカンなカジュアルファッションをまとっていたのが亀山薫でした。フライトジャケットにトレーナーシャツ、カーゴパンツというフランクなたたずまいは、キャラクターの性格だけでなくファッションまでも正反対であったことを表しているのでしょう。

 生え抜きの現場の刑事的な亀山薫に対して、エリート的なところで杉下右京と対比がおこなわれていたのが、神戸尊でしょうか。(亀山くんはとはいえ本庁の人間ですし、神戸くんもノンキャリからのエリートコースなのでイレギュラー的な存在なのですが)

神戸尊は階級が元々杉下右京よりも上、ということもあってか、スーツルックで登場します。が、スーツは細身ですし、ノータイで、シャツもストライプなどの柄物。コートは、スタイルはチェスターコートながらレザー素材という装いです。亀山薫とは違った意味で右京さんとの違いを描く、そんな着こなしなのかもしれません。

亀山くんとは違い、本当の意味で現場の人間だった甲斐亨は、神戸くんと同じくノータイでしたが、スーツではなく、ジャケパンスタイルでした。エリートの息子、という設定のせいか、亀山くんのような野趣あふれる感じよりも、オフィス・ビジネスシーンに適したドレス度の高いかたちになっています。ウェストコートを着用する際も、ジャケットと同系統の色、もしくは同じ素材で作られたもの(三揃えのズボンだけ用いない)を使ったり、ズボンもジーンズは濃度の濃いものを使うなど、でドレス度を高めているように見えます。右京さんとの違う若さを表現する一方ぇ、杉下右京に憧れている人物ということも醸し出す、ということで杉下右京的ドレッシーなファッションをしていたのかもしれません。彼が亀山くん的な走り回る立ち位置ではなく、右京さんと同じく犯人を会話や洞察で追っていくイメージがありますが、これはファッションによるところが大きいかもしれません。

冠城亘は、神戸くんと同じくエリートということもあってか、ダークスーツを身にまとっており、タイもしていないところも同じです。しかし、シャツはワイドかカラーまたはワンピースカラーと呼ばれるノータイ用のものなのか、キレイにジャケットにおさまるようになっているのが印象的です。スーツの中に同系統色のカーディガンを羽織ることもあり、こちらはカイトくんを思い起こしますね。コートは右京さんと同じくチェスターコート。しかし、Vゾーンの深いコート(または、段返りのコートでVゾーンを深くしている着こなし)と、マフラーを巻くことで、右京さんとの違いを醸し出しています。

米沢守は制服姿が一般的ですが、スーツを着る時はややオーバーサイズでスタイルの古いスーツで登場することで、服装に無頓着であるイメージを与えますが、主人公格の相棒たちもキャラクターをたたせるべく、さまざまなスタイルに身を包んでいるようです。

f:id:thumoto:20160402154815j:plain

そういえば、事件が終わった後、特命係の二人でご飯の相談をするシーンで終わることがありますが、亀山くん時代は蕎麦で終わることが多かったですが、これも変化してきているのでょうか。