カスタムへみちづれ

コート。それは暖冬には不要なものです。しかも手持ちがゼロ、というわけでもなければ必要はないでしょう。

しかし、突然思い立つと欲しくなることもあったりします。……暖冬なのに。

一般的に最も格式高いチェスターフィールドコート。フォーマル用な黒や比翼仕立てではなく、ビジネスの日々に使えるネイビーで、丈もいまどきなものが欲しいなぁと探していたところ、年末セールで見つけたのがこちら。

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濃紺ネイビーの、フラップの付いた腰ポケットがあり、カフスボタンは本切羽……とこだわっていくとなかなか見つからず。チェスターコートブームが起きた後だからか、変化球的なカジュアルなパーツや素材のコートばかりのなか、こちらを発見。

手持ちのスーツ・ジャケットの濃紺なものよりはやや青いですが、それはそれで面白そう。

先述したチェスターコートブームのなかで、ジャケットの上から着るオーバーコートとしてではなく、シャツの上から着るジャケット的なコートとして造られたようでやや細身ながらも、ジャケットの上から着ても違和感なく、細身めが好みのこともあって購入。

 

しかし、いっこだけ難点というか希望と異なる箇所が。

段返りの3つボタンジャケットが好きなせいか、そういったチェスターコートを探していたのですが、こちらはかなりラペルの返しがきっちり目。

これをプロに頼んでお直しすることもできますが、せっかく安く手に入れたので自分で弄ってみることに。

 

使ったのはスチームアイロン。ウールジャケットなどは霧吹きやスチームアイロンで水分を当ててシワとりをしますが、こういった用途は初。もともと衣服を形造るときに上記を当てるらしいぞ……という発案です。

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上から2番目のボタンを留めた状態で、それより上を蒸気を当てながら曲げていきます。時には蒸気だけでなく、アイロンの熱を当て布を用いつつ当てたりして、もとのラペルの返しを打ち消しつつ、新たなラペル線をつくっていきます。

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そしてこちらが作業完了後。Vゾーンを深くすることに成功しました。長期的にはこれが吉と出るのか凶と出るのか、いづれにせよ自己責任ですが、達成感と着るワクワクがある作業でした。

革靴は定期的なメンテナンスが必要ですが、そのたびに自分の手入れの色に染まっていくのが魅力です。それに比べると衣服はメンテナンスによって変わるという感慨はあまりないですが、自分の第二の皮膚と言われる服をキレイに保つにはブラッシングといったメンテナンスは必要ですし、ボタン変更など付き合っていく姿勢が、どこにいくにしてもお気に入り(の服たち)をつくりあげるのかもしれません。