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BかDか/シューズの体系

靴にもいろいろと種類があり、さまざまな要素で分けることができますが、2種類に分ける大きなカテゴリとして有名なのは、「Balmoral/Oxford:内羽根」と「Derby/Blucher:外羽根」でしょう。

キャップトゥ(ストレートチップ)が最もフォーマルであり、その次に来るのが、プレーントゥ。革靴は中2日は履かないほうが良いので、はじめの3足としてまずこの2つと、……といったオススメはそういったビジネス・トラッドファッション入門書を読んだ人なら、誰しも見たことはあると思います。

しかし、例外としてスーツに不向きな、カジュアル度の高いローファーであっても、タキシードの足元に採用されることもあったり、Uチップはどの程度ビジネス向きなのかはよくわからなかったりします。そのあたりを再整理することがルールを鑑みた着こなしにも重要でしょう。

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1.内羽根・キャップトゥ(ストレートチップ

タイプとしては内羽根・プレーントゥの爪先にキャップが付いたもの。昼の服装(どうやらスーツな体系には昼と夜のコードがあるのです)の最格上な靴として、「冠婚葬祭に効く、はじめに持ちたい靴」にエントリーされる種類です。


2.内羽根・プレーントゥ

プレーントゥは外羽根のもののほうがよく知られていますが、内羽根のものは夜の服装の最上のタイプとして位置付けられています。もともとこのポジションにはオペラパンプスが占めていましたが、紐靴の隆盛とともにこのタイプならあり、ということになったようです。昼の服装の最上タイプであるキャップトゥでもなんとか可という基準を見るあたり、昼の服装の影響は強いのでしょうか。


3.内羽根・ブローグ(クォーターブローグ〜セミブローグ〜フルブローグ)

基本的にはキャップトゥに飾り穴であるブローグが増えていくとカジュアル度が高まります。クォーターブローグなんかはほぼ、キャップトゥに似ていることもあって、キャップトゥとして用いる方もいるようです。少し前、当時のブレア英国首相が議会登壇時にはゲン担ぎとして内羽根フルブローグを履いてることをあかして話題になりましたが、このあたりの靴はスーツに合う靴として知られているタイプになります。


4.サイドエラステイック

サイドエラステイックシューズは名前の通り、履き口にエラスティック(ゴム)が入っている靴です。プレーンなホールカットのようなモデルや、クォーターブローグのようなかたちだが紐なしのモデル、レイジーマンと呼ばれる紐付きの内羽根紐靴のようでサイドにゴムが入っているため、紐を使わなくて良い怠け者(Lazyman)向けのような靴までまあります。基本的には紐付きの靴ではないがスーツに合わせられる靴として、ビジネス、場合によってはフォーマルに履く靴なのではないでしょうか。

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5.モンクストラップ

シングルストラップ、と、ダブルモンクストラップがありますが、シングルストラップのトゥはプレーントゥ的なものが、ダブルモンクストラップのトゥはキャップトゥ的なものが多く、サイドエラステイックと並んで「紐靴以外でスーツにふさわしい」と言われることも多い靴です。出自が聖職者であるところや英国王室出身者が履いた靴(ダブルモンクストラップはウィンザー公が始まりと言われています)であるあたりが、格上の高さの担保になっているのでしょうか。


6.外羽根靴

外羽根・プレーントゥの靴は「最初に買うべき靴」としてよく紹介されてますね。そのシンプルさから汎用性はスーツ〜ジャケパンまでいろいろあります。また、Vチップと呼ばれるアイレットの少ないプレーントゥですと、フォーマル用途で使えることもあるようです。

が、なによりも、外羽根の活動的なところが内羽根の儀礼的な趣きと異なるところです。そのため、外羽根・プレーントゥも外羽根・クォーターブローグもフルブローグも一緒のカテゴリの方がわかりやすいのではないでしょうか。外羽根・フルブローグのカジュアル度の高いものはスーツに合わせがたいという意見もあるようです。


7.エプロンフロントダービー(Uチップ)

Uチップ、というとそもそもこの靴は外羽根なのか?内羽根なのな?わかりませんが、英語名のエプロンダービーと聞くと外羽根系列であることがわかります。(ちなみにUチップの内羽根というものも、稀にですが存在します)

スーツに合わせることはスマートなモデルだったら可能という意見もある一方で、漁師や狩猟をルーツとするためにスーツよりもジャケパンでの装いにふさわしいという声もあります。f:id:thumoto:20160123171623j:plain


8.ローファー

怠け者が原義とされ、室内履きがもともとのタイプと言われるとスーツなどのフォーマル・ビジネス度の高い服装には不似合いだというのはわかると思います。

しかし、ここにも例外があり、タッセルローファーはスーツにもありだだたりしますし、ドレス仕様度の高いものは夜のフォーマルに合わせることもできるようです。オペラパンプスがスリッポンだっただけにその代替として雰囲気が似ていれば可能、とのことなのでしょう。


そもそも、なぜローファーは位が低いのでしょうか?これは個人的にですが、「エプロン」のせいではないでしょうか。Uチップにもあるトゥ上の縫い合わせた形状をエプロンと呼ぶようで、Apron Slip onとローファーのことを呼ぶ場合があるようです。それぞれタイプの靴がカジュアル度の高いアイテムであるということもじゅうぶん説明にはなると思いますが、エプロンがカジュアル度の高いパーツとして認識されていることもあるのではないでしょうか。

(あるいは、キャップトゥの「キャップ」の横断線ではなく、縦断線のエプロンがカジュアルポイントなのでしょうか)


内羽根のスエードフルブローグと、外羽根の黒革のセミブローグ、どちらがよりドレス度が高いのかというのは難しい問題ですし、まさにTPOによる、というところなのですが、素材の原則論を抑えているとうまく理解はできるのではないでしょうか。

つまり、フォーマル・ビジネスからカジュアルに向かって、「黒革>茶色革>スエード ※黒以外は濃い色の方がフォーマル」であり、黒のスムースレザーがビジネス靴として好まれる種類であるということです。

そこに内羽根キャップトゥ/内羽根プレーントゥを頂点とした体系がある。もちろん、現在はカジュアル度の高い服装も許容される時代、スーツにスエードも素敵ですが、本来(たとえば、100年前には、でもよいですが)ルールからズレている、あえてズラしているという認識があったほうが、その後流行や社会認識がめちゃくちゃになった際にも立ち返りやすいのではないでしょうか。


ジェームズ・ボンドは小説中では紐付きの靴をめったに履かなかったそうですが、そうしたハズしがわかるのも、本流があってこそ。クラシックなものを選びメンテナンスをし付き合っていけばトレンドを脇に置いて長く付き合える靴だけに、基本として押さえておきたいものです。