捜査の行方

もっとも長く続いている日本のミステリードラマは『相棒』なのではないしょうか。

新シリーズ・新相棒の行き着くところも気になりますが、今回考えたいのは「特命係はスゴイのか」です。

それはもちろん、特命係の2人が通常の捜査には引っかからない、逃げらてしまっていたであろう犯人を検挙しているという点でしょう。トリックがあるなど、通常捜査ではまさに盲点となっている箇所や、政治的・社会的に意義のある事件を解決しているから、であるとか。

それに加えて、ドラマ内比較としては、捜査一課の捜査力を上回っているから、ということもあるでしょう。イタミンはじめ、捜一というのはドラマのエピソードでは、特命係の引き立て役にしかなっていませんが、本来は殺人事件の捜査担当部署としてプロなわけです。亀山薫時代のエピソード「Wの悲喜劇」にて、杉下右京が、殺人事件の検挙率の高さを犯人と疑わしい人物に、語る場面がありますが、ドラマ内においても、その数字の高さを支えているのは特命係というよりは、イタミンや、もっと地元の警官たちのはずで、なぜならば、特命係というのは彼らが興味を示した、または巻き込まれた事件の現場に赴くというのがエピソードのはじまりだからです。シーズンを重ねるにつれて、特命係が絡む、というだけで、疎ましく思いつつもこの事件に何かあるのか、と伊丹・芹沢両刑事が思い始めたりする場面が出てきたあたり、特命係は「通常の事件」とでもいうべきものには出てこないのだろうというとことは想像に難くありません。

また、捜査の足取りも特命係は捜査一課とは変わっています。

同じく、亀山くん時代、特に亀山くんが捜査一課から追い出されて張り合っていた頃は、捜査一課がどこの誰かに話を聞きに行くと、

「俺たちも行きましょうよ」「ま、そちらは彼らに任せるとして、僕たちは違うところをあたってみましょう」

といったやりとりを右京さんと交わしている場面がよくありました。

こういった展開は神戸尊、甲斐亨時代にもありますが、特命係というのは、特殊な事件に興味を示し「捜査一課の逆張りの捜査」とでもいうべきでしょうか、イタミンたちの捜査とは違ったルートの捜査によって、違った事件像を把握していく方に進んでいきます。

もし、あの世界で特命係が「まっとうに」評価されているのであれば、単に優秀ということだけでなく、通常ではないイレギュラーモノばかり扱う裏の花形部署といった存在になっていたのかもしれません。

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ホシ見えませんね。だいじょうぶです。ツキ、ありますから。(『相棒』1stシーズンキャッチコピー)