読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ストーリー・イデオロギー

ブランド 土地

目の前に置かれた商品とその値段だけ見て高い・安いということは簡単ですが、そこに背景のストーリーがあるとまた複雑になってきます。

鞄が5万円、という値付があるとして、決して安い値段ではないですが、「●●で人気のブランド」であったりとか、「職人が手作業で縫い造り1日3作しか造られない」、「工学研究を反映させ負荷がかかりにくしている」とかそういう背景を聞くと、安く思えない場合があります。もちろん、「鞄なんてモノが入れば良い、値段命」という人には、響かない話かもしれませんが、機能にせよ、ラグジュアリーさにせよ、そういった要素を気にする人にとっては影響力があることでしょう。

あるいは、「このイラスト集のデザインが、」とか、「この映画の監督は、」といった背景・ストーリーの「語り」を生むのも、同じような構造を持っているのでしょう。オタクは案外ブランド志向が高い、のかもしれません。f:id:thumoto:20150822234050j:plain

ブランドのプロダクツの背景をどういった瞬間に人は探ろうと思うのか?そこに大きなマーケティング的な意味があるでしょうが、いまあらためて興味深いのは、こういった想いや背景のストーリーがあらゆるところにあることです。

もちろん、タワーマンションからガムまで、モノやサービスといった販売されているものに関してそういったストーリーがあることはちょっとでもチラシや、製品紹介のサイトを見ればわかることですが、いまやストーリーがあるのはそういった売り物だけでなく、選択肢としてあるものすべて付与されているかもしれません。と、いうよりは、選択肢を選ぶ時に人はそういった「ブランドとその背景」から選ぶのかもしれませんね。

「このスーツを買うべきか」「この学校に入るべきか」「このマンションに引っ越そうかな」……「このスーツの縫製は…」「この学校の開業は江戸時代で…」「この土地は歴史あり、利便性も」

 

ここ20年ほどでもっともストーリー化が起きているものが「街」「土地」ではないでしょうか。その土地の名前に対する意義や歴史性。まちおこしやその過程で登場するゆるキャラはその土地の「ストーリー」の特徴を踏まえたものが多いです。歴史的な街なのか、なにか特産物があるのか、街にランドマークがあるのか。f:id:thumoto:20150822234003j:plain

六本木ヒルズは毛利庭園があり、テレビ朝日の番組でよく登場しますが、「毛利」というのは、もともと毛利家中屋敷として六本木ヒルズの土地があったことを意識した命名となっています。汐留の区画には新橋駅が復元されていたり、ラゾーナ川崎の最上階に東芝工場時代からの社があったりと土地の記憶を継続する、といった行動は再開発によく見られます。あるいは日本橋周辺の首都高地下化は、かつてのにぎわいの土地である日本橋を風景として復元させようという機運でしょうか。こちらも土地の記憶の活性化・記憶の継続といえるでしょう。

NHKブラタモリ』で行われているのはそういった「ストーリー」の補強や発掘作業といえるますし、この番組が、語る土地を東京周辺から、日本全国へ移行していることは、象徴的だと思います。再開発・まちおこしでの「ストーリー」の起立は、平行して起きてきたムーブメントだと感じていますが、江戸時代のものや明治・大正時代のものをどう現在日本に落としこむか?といったところや、何をストーリーとして売り込むのか?といったところは地域の活性化だけでなく、日本の伝統の継ぎ方と言った方面にも重要な事だと思います。