俗なる怠け者の冒険
秋といえば紅葉シーズン、そして名所には時代がかったところが多いです。なぜなのでしょうか。紅葉並木、とかであればある程度成長した木であったり、あそこは紅葉が綺麗だよね、と周りから認められる必要があるわけで名所となるには時間がかかるわけです。
しかし、寺社仏閣に名所が多いのは、歌枕のように●●といえば紅葉と語り継がれてきたり、自然だけでなく和の要素や建物などの人の要素があってこその名風景となるのでしょうか。古跡は木造だったり石造りで、人工の要素がありながら自然には馴染みやすいものですし。
まあ、それはともかく、京都にぶらり。
紅葉目当てとはいえ、寺社仏閣にお参りするわけですし、個人的な嗜好としてジャケットは用意しましたが、11月下旬の京都の気温は9℃〜15℃という寒さ。そのため冬のジャケットにするか、背抜きジャケット+コートという格好にするか。思案した結果、今回はTシャツにダブルのロイヤルネイビーの背抜きジャケットに、ネイビーのポロコート、ネイビーのマフラー、ワンウォッシュのジーンズにスエードダブルモンクで出かけることに。ネイビーでまとめ、スエードダブルモンクでラフでも下品にならないようにしてみた、つもり。
より気楽に行くことをコンセプトにしつつ、ダブルジャケットをよりラフに使うことを狙ってTシャツベースの着こなしをしたかったのです。
勤労感謝の日、昔の新嘗祭の日に行ったところまさに紅葉全開期で人も多かったですが、きれいでした。
昼は暑くコート・マフラーは要らないほどでしたが、夕暮れになってくると必要になりました。また。貴船の山の方にも行ったのですが、そこでは昼間でもコートが必要なレベル。
ミヤギコウギョウのダブルモンクはレザーソールながら天候が悪くなることはなく、長距離歩いたにも関わらずフィットしているおかげで快適に京都を巡ることができました。
ジーンズはレッドカードのストレッチ素材のもの。あまり色落ちしてるジーンズよりもこういう青み加減のものが好みなのですが、ジャケットにも落ち着いた感じで合うような。
京都には定期的に行きたくなりますが、盆地ゆえ東京とは違って寒暖差が一日の間にあるところが難しくも面白いところです。
ヘビーローテーション
気に入った服、ネクタイや靴なんかはついつい使用頻度が高くなってしまいます。そういった柄やスタイルが好きということなのでしょう。小物であれば予備を買っておくのも手ですが、ジャケットや靴だとそれも置く場所がかさばるので考えものです。大事にとっておきすぎて個人的な「流行」が終わってしまったら、着ないわけですし、思い入れがあるのはやはり、ヘビロテした方なのです。
ヘビロテしすぎると傷みが早くなってしまうわけですが、このスエードダブルモンクは昨年12月に手に入れてからヘビロテしすぎて、1年経たずにオールソールとなりました。
ミヤギコウギョウの良いところは純正修理ができるところ。海外ブランドの靴はやはり修理屋さんにお願いすることになることが多いと思いますが、生産者が国内にあり純正修理が可能なのはMade In Japanの強みと言えるのではないでしょうか。グッドイヤーウェルトの靴はオールソールができることが強みなので、修理をしてどんどん味を出して行きたいです。
ダブルモンク、特にスエードだとオンオフ共に使える靴と言って良いと思うのですが、ダークブラウンであることによって、オンの時もそこまでカジュアル度が高くならない、オフで落ち着いた雰囲気を出すことができるところが好きです。
オールソールできるといっても限度があり、それを超えるとウェルトを変えるリウェルトをしなければなりません。純正ならリウェルトもできると聞きましたが、その分靴への負荷は高いわけでヘビロテの頻度についてはほどよくして靴とつきあっていきたいですね。
台風の小町Angel:ストームウェルト
雨が続くと、困るのが靴。ゴム底の靴を雨天時使っている身としては、雨の日の靴は限られて来ます。
またゴム底といっても、通常のグッドイヤーウェルトの靴では小降りの雨まで。激しい雨だと靴の中まで雨がしみて来ます。
もちろん、そこで長靴なんかを履くのもいいですが、グッドイヤーウェルトでも雨が平気なものがあります。
こうした縫い目と皮の間にある「グルリ」と囲んだストームウェルトがあれば、名前の通りですが暴風でも靴の中へ雨水が侵攻してくるのを防いでくれます。台風の時期や雪の日でも安全に足元を支えてくれる靴です。
ブーツではクロケットアンドジョーンズとトリッカーズのものをそれぞれ持っていますが、残念ながら短靴ではありません。暴風では覆う所が多いブーツの方がいいのですが、夏の雨の日や、ビジネスシーンなどでは短靴のほうが良い場面もあり、短靴のストームウェルト付きのものが欲しい所です。
アウトドア的な要素なので、内羽根より外羽根の方がしっくりくるでしょうか。秋の日の暴風はブーツでしのぎつつ、次の靴として狙って行きたいです。
Laters:後から来たスエード熱
スエード靴は、雨の日便利というのは結構広まった話なのだと思うのですが、ビジネスウェアに無関心な方も、あるいは職場的になんでもおっけーなところもあって、決してトラッドファッションがみんなに必要とされるものではないさっこん。例えば、チェスターコートとジャケットの組み合わせではなく、ダウンとTシャツでも良いという時代において、他のファッションとは違うのは伝統性とそれゆえのスマートさが醸し出せる点ではないでしょうか。(ストリートファッションにはストリートファッションの歴史と文脈があるにせよ)
オンオフの境目が消えていく中、トラッドの着こなしが活躍するのはカジュアルスマートのようなところでしょう。Tシャツにジャケットというのは決してこの枠組みのスタイルではなかった思いますが、そのバランスの総体を見るとき、トラッド文脈が活きるのではないでしょうか。
もはやそれはトラッドでもなんでもないのかもしれませんが、個人的には伝統的な文脈に裏打ちされることでバランスを保つのに役立つときがあると思います。Tシャツにジャケットでフルブローグはありか?色は黒?茶色?素材はスムースレザー?スエード?ボトムズはジーンズ?チノパン?色は……などなど。
レザーだけど、カジュアルにも振れる。そんな素材がスエードでしょう。ブラウンのスムースレザーでもカジュアルよりですが、フランネルや、近年の起毛的パターンのカジュアルジャケットだと、「毛羽立ち」があるスエードのほうが、よりマッチするのではないでしょうか。
経年変化がないスエードに対して、メンテナンスによって「成長」があるスムースレザーだけが好きな時代もありましたが、オフィスカジュアルからカジュアルな格好まで幅広く対応できるのはスエードならではです。
初めて買ったスエードはグレンソンのライトブラウンローファーでしたが、その色合いから夏だけでなく、秋〜春でも活躍してくれる靴でした。そして、三陽山長のスエードチェルシーブーツはダークブラウンでゴム底なので、雨の日でもスーツでも活躍する靴です。クロケット&ジョーンズのビームス別注アンラインドチャッカブーツは暗いブラウンであることもあってタイをした格好にもカジュアルな装いにも通年使えるブーツです。こうしてスエード靴が使いやすい靴として靴箱の仲間入りをしていくことになりました。
もちろん、あまりにもラフな格好であればトリッカーズのカントリーブーツのような存在感のあるものではないと難しいかもですが、スマートにカジュアル素材のジャケットを羽織りたいときなど、足元を引き締めてくれるのがスエードだと思います。
Exodus'17:夏から秋の衣替え
最高気温が30℃を下回り、蝉の声も鳴きやんでくると秋かな、という気分になります。しかして、まだまだジャケットを着るのは早計という日も多く、かといってクールビズスタイルだと朝晩は涼しすぎる日もあったり……
昨年は最高気温が高い、夏らしい日は8月早々に終わったかわりに、雨が続き、梅雨の復活からの秋雨といった展開でした。
今年はそれに比べると平年的……なのでしょうか。一雨ふるごとに気温が下がる日々です。
さて、ジャケットを着て楽しめる気温は25℃以下だと思いますが、背抜きの春夏仕様のものであっても涼しい顔して着ていられるのは20℃以下の時ではないでしょうか。秋は春→夏と違って湿度が低いのか、気温が低いので5月と同じ気温でも9月の方が涼しく感じるのか、ジャケットを着てもそこまで暑くないな……という日もありますが、街中で見かける営業職っぽいは人でもジャケットを着ている人と手持ちの人で分かれている気温のように思えます。
この前書いたダブルジャケット+半袖Tシャツだと袖を通せるのは25℃以下の時だと思います。20℃くらいだとうれしい……といったところでしょう。背抜きで薄手とはいえ、コットン・ウール混毛なので、もう少し低い気温向けなのかもしれません。
もう少しサマー特化のジャケットであれば行けそうな気温ですが、あんまり夏仕様の服を着る気分にもなれず笑
一方、ソックスは長いものにも暑苦しさを感じることがなくなり、ようやくローファーだけに頼る日々も終わりそう。
半袖のポロシャツなんかもまだまだ着れる気温ですが、気温という物理的なものではなく、ジャケットやカーディガンなどはおりものを羽織る性分なのか、もう一枚羽織りたくなります。
それでいて気温の高い日は長袖シャツをまくりたくなる日も続くようですが月が明日から変わり、秋冬の装いを進めていくつもりです。
フォールオブフォール:4年目のトリッカーズ
靴はメンテナンスを繰り返して行くことで磨きがかかり、深みが増していきます。なかでも茶靴はクリームの色でいろがつけることができますが、それは1回2回で増していくものではありません。ある書では、最低2年くらいしないと靴らしくならないとありました。2年間のメンテナンスを経てようやく革靴らしくなるということなのでしょう。
そういう意味では今年買ったジョン・ロブのローファーの革質はすばらしいですが、まだまだ革靴にはなれていないのかもしれません。
ひるがえってトリッカーズのカントリーブーツは、4年前に買ったもの。ブーツゆえ、夏は履くことはなく、逆に雪の日や春雨の日、台風の日などなかなか普通の靴では厳しい日に着用して酷使してきました。
マロンカラーのものにダークブラウンなど、好きな色を乗せてしまうメンテナンスでしたが、メンテナンスを欠かさなかったおかげか、雨風の中でも色が落ちず革もヘタれることなく、独特の風合いの靴となりました。
そもそもトリッカーズのブーツは、丈夫な革とストームウェルトによる堅牢なブーツです。それゆえ、大雨の日に履いていって足がびしょ濡れになることはまずありません。グッドイヤーウェルトの靴はラバーであれば、雨でも滑りにくいですが、降水量が多いと、縫い目の箇所からなのか?雨がしみ込んでくることがあります。しかし、ストームウェルト、名前の通りというべき、防風での堅牢さ短靴と違ってくるぶしまでおおわれるため、横殴りの雨であっても、足元が濡れることが非常に少ないのです。
また、このブーツは丈夫さばかりがフォーカスされますが、木型もわりとふぃっとしてくれるブーツです。
フルブローグのブーツであるため、タイをするような姿にはやや、アンフィットですが、Tシャツからカジュアルジャケットまで幅広く活躍してくれます。
購入当初と比べると味のある感じになっている……んでしょうか。これからも長く履きたいですね。
i wash
エドワード・グリーンのバッキンガム。様々なところへと履いて行っておりますが、夏はやはり活躍機会が増えます。
夏の怖いところは突然の雨です。小雨程度なら革底の靴でもどうということはないですが、夕立やゲリラ豪雨だとたちまち濡れまくります。ローファーだからか、ベリーショートソックスだからか、足自体への雨粒の跳ねも激しい気がしますが、ゲリラ豪雨レベルの雨に出会ってしまうと要メンテになります。
この夏はエドワード・グリーンのバッキンガムがそうなってしまいました。特に夏は靴を乾かしている間に中や底にカビが生えやすく見た目もメンテを感じさせることいっそうです……
さて、エドワード・グリーンがこうなったのは初めてですが、さすが革の質が良いのか、塩を吹くといったこともなかったです。まず乾かすのに、5日ほどかけました。そのあと、いつも通りサフィールのレザーローション→ノワールのラノベイター→サフィールノワールのクリームでメンテナンスしました。
やはり時期なのか、革底にカビが……これは庭先でアルコールをつけた歯ブラシで落としてました。歩けば落ちるといえばそうなのですがね。
雨に濡れた後のメンテナンスで一段と磨きがかかるといいますが、革底の中のシャンクやコルクも濡れると負担になると聞きます。やはり、雨の日はゴム底の靴のほうが良いと個人的には思ってしまいます。