台風の小町Angel:ストームウェルト
雨が続くと、困るのが靴。ゴム底の靴を雨天時使っている身としては、雨の日の靴は限られて来ます。
またゴム底といっても、通常のグッドイヤーウェルトの靴では小降りの雨まで。激しい雨だと靴の中まで雨がしみて来ます。
もちろん、そこで長靴なんかを履くのもいいですが、グッドイヤーウェルトでも雨が平気なものがあります。
こうした縫い目と皮の間にある「グルリ」と囲んだストームウェルトがあれば、名前の通りですが暴風でも靴の中へ雨水が侵攻してくるのを防いでくれます。台風の時期や雪の日でも安全に足元を支えてくれる靴です。
ブーツではクロケットアンドジョーンズとトリッカーズのものをそれぞれ持っていますが、残念ながら短靴ではありません。暴風では覆う所が多いブーツの方がいいのですが、夏の雨の日や、ビジネスシーンなどでは短靴のほうが良い場面もあり、短靴のストームウェルト付きのものが欲しい所です。
アウトドア的な要素なので、内羽根より外羽根の方がしっくりくるでしょうか。秋の日の暴風はブーツでしのぎつつ、次の靴として狙って行きたいです。
Laters:後から来たスエード熱
スエード靴は、雨の日便利というのは結構広まった話なのだと思うのですが、ビジネスウェアに無関心な方も、あるいは職場的になんでもおっけーなところもあって、決してトラッドファッションがみんなに必要とされるものではないさっこん。例えば、チェスターコートとジャケットの組み合わせではなく、ダウンとTシャツでも良いという時代において、他のファッションとは違うのは伝統性とそれゆえのスマートさが醸し出せる点ではないでしょうか。(ストリートファッションにはストリートファッションの歴史と文脈があるにせよ)
オンオフの境目が消えていく中、トラッドの着こなしが活躍するのはカジュアルスマートのようなところでしょう。Tシャツにジャケットというのは決してこの枠組みのスタイルではなかった思いますが、そのバランスの総体を見るとき、トラッド文脈が活きるのではないでしょうか。
もはやそれはトラッドでもなんでもないのかもしれませんが、個人的には伝統的な文脈に裏打ちされることでバランスを保つのに役立つときがあると思います。Tシャツにジャケットでフルブローグはありか?色は黒?茶色?素材はスムースレザー?スエード?ボトムズはジーンズ?チノパン?色は……などなど。
レザーだけど、カジュアルにも振れる。そんな素材がスエードでしょう。ブラウンのスムースレザーでもカジュアルよりですが、フランネルや、近年の起毛的パターンのカジュアルジャケットだと、「毛羽立ち」があるスエードのほうが、よりマッチするのではないでしょうか。
経年変化がないスエードに対して、メンテナンスによって「成長」があるスムースレザーだけが好きな時代もありましたが、オフィスカジュアルからカジュアルな格好まで幅広く対応できるのはスエードならではです。
初めて買ったスエードはグレンソンのライトブラウンローファーでしたが、その色合いから夏だけでなく、秋〜春でも活躍してくれる靴でした。そして、三陽山長のスエードチェルシーブーツはダークブラウンでゴム底なので、雨の日でもスーツでも活躍する靴です。クロケット&ジョーンズのビームス別注アンラインドチャッカブーツは暗いブラウンであることもあってタイをした格好にもカジュアルな装いにも通年使えるブーツです。こうしてスエード靴が使いやすい靴として靴箱の仲間入りをしていくことになりました。
もちろん、あまりにもラフな格好であればトリッカーズのカントリーブーツのような存在感のあるものではないと難しいかもですが、スマートにカジュアル素材のジャケットを羽織りたいときなど、足元を引き締めてくれるのがスエードだと思います。
Exodus'17:夏から秋の衣替え
最高気温が30℃を下回り、蝉の声も鳴きやんでくると秋かな、という気分になります。しかして、まだまだジャケットを着るのは早計という日も多く、かといってクールビズスタイルだと朝晩は涼しすぎる日もあったり……
昨年は最高気温が高い、夏らしい日は8月早々に終わったかわりに、雨が続き、梅雨の復活からの秋雨といった展開でした。
今年はそれに比べると平年的……なのでしょうか。一雨ふるごとに気温が下がる日々です。
さて、ジャケットを着て楽しめる気温は25℃以下だと思いますが、背抜きの春夏仕様のものであっても涼しい顔して着ていられるのは20℃以下の時ではないでしょうか。秋は春→夏と違って湿度が低いのか、気温が低いので5月と同じ気温でも9月の方が涼しく感じるのか、ジャケットを着てもそこまで暑くないな……という日もありますが、街中で見かける営業職っぽいは人でもジャケットを着ている人と手持ちの人で分かれている気温のように思えます。
この前書いたダブルジャケット+半袖Tシャツだと袖を通せるのは25℃以下の時だと思います。20℃くらいだとうれしい……といったところでしょう。背抜きで薄手とはいえ、コットン・ウール混毛なので、もう少し低い気温向けなのかもしれません。
もう少しサマー特化のジャケットであれば行けそうな気温ですが、あんまり夏仕様の服を着る気分にもなれず笑
一方、ソックスは長いものにも暑苦しさを感じることがなくなり、ようやくローファーだけに頼る日々も終わりそう。
半袖のポロシャツなんかもまだまだ着れる気温ですが、気温という物理的なものではなく、ジャケットやカーディガンなどはおりものを羽織る性分なのか、もう一枚羽織りたくなります。
それでいて気温の高い日は長袖シャツをまくりたくなる日も続くようですが月が明日から変わり、秋冬の装いを進めていくつもりです。
フォールオブフォール:4年目のトリッカーズ
靴はメンテナンスを繰り返して行くことで磨きがかかり、深みが増していきます。なかでも茶靴はクリームの色でいろがつけることができますが、それは1回2回で増していくものではありません。ある書では、最低2年くらいしないと靴らしくならないとありました。2年間のメンテナンスを経てようやく革靴らしくなるということなのでしょう。
そういう意味では今年買ったジョン・ロブのローファーの革質はすばらしいですが、まだまだ革靴にはなれていないのかもしれません。
ひるがえってトリッカーズのカントリーブーツは、4年前に買ったもの。ブーツゆえ、夏は履くことはなく、逆に雪の日や春雨の日、台風の日などなかなか普通の靴では厳しい日に着用して酷使してきました。
マロンカラーのものにダークブラウンなど、好きな色を乗せてしまうメンテナンスでしたが、メンテナンスを欠かさなかったおかげか、雨風の中でも色が落ちず革もヘタれることなく、独特の風合いの靴となりました。
そもそもトリッカーズのブーツは、丈夫な革とストームウェルトによる堅牢なブーツです。それゆえ、大雨の日に履いていって足がびしょ濡れになることはまずありません。グッドイヤーウェルトの靴はラバーであれば、雨でも滑りにくいですが、降水量が多いと、縫い目の箇所からなのか?雨がしみ込んでくることがあります。しかし、ストームウェルト、名前の通りというべき、防風での堅牢さ短靴と違ってくるぶしまでおおわれるため、横殴りの雨であっても、足元が濡れることが非常に少ないのです。
また、このブーツは丈夫さばかりがフォーカスされますが、木型もわりとふぃっとしてくれるブーツです。
フルブローグのブーツであるため、タイをするような姿にはやや、アンフィットですが、Tシャツからカジュアルジャケットまで幅広く活躍してくれます。
購入当初と比べると味のある感じになっている……んでしょうか。これからも長く履きたいですね。
i wash
エドワード・グリーンのバッキンガム。様々なところへと履いて行っておりますが、夏はやはり活躍機会が増えます。
夏の怖いところは突然の雨です。小雨程度なら革底の靴でもどうということはないですが、夕立やゲリラ豪雨だとたちまち濡れまくります。ローファーだからか、ベリーショートソックスだからか、足自体への雨粒の跳ねも激しい気がしますが、ゲリラ豪雨レベルの雨に出会ってしまうと要メンテになります。
この夏はエドワード・グリーンのバッキンガムがそうなってしまいました。特に夏は靴を乾かしている間に中や底にカビが生えやすく見た目もメンテを感じさせることいっそうです……
さて、エドワード・グリーンがこうなったのは初めてですが、さすが革の質が良いのか、塩を吹くといったこともなかったです。まず乾かすのに、5日ほどかけました。そのあと、いつも通りサフィールのレザーローション→ノワールのラノベイター→サフィールノワールのクリームでメンテナンスしました。
やはり時期なのか、革底にカビが……これは庭先でアルコールをつけた歯ブラシで落としてました。歩けば落ちるといえばそうなのですがね。
雨に濡れた後のメンテナンスで一段と磨きがかかるといいますが、革底の中のシャンクやコルクも濡れると負担になると聞きます。やはり、雨の日はゴム底の靴のほうが良いと個人的には思ってしまいます。
あの店でうなるのはあなた:つじ半神楽坂店
和食の頂点のひとつに、寿司があるのは間違いないでしょう。刺身もいいですが、コメの炊き方やお酢の具合、握り方など技術面で高度なものが要求されるのが寿司でしょう。
海鮮がうまい土地での旅行なら寿司が食べたいですが、敷居が高いのが寿司。そこで手軽に食べれるのが海鮮丼だったり。まあ、旅行せんでも刺身的なものが食べたいときには海鮮丼をよく食すことがあります。
海鮮丼といえば普通は薄切りの刺身と白ご飯または酢飯で、ネタの鮮度やボリューム、ごはんが勝負所ですが、ちょっと変わっているな、というお店が。
日本橋または東京八重洲口ちかくにある「つじ半」では、マッシュされたような海鮮の盛り付け。従来の海鮮丼とは違った趣です。ただ、単に見た目が面白いのではなく、さまざまなネタのうまみが一気に味わえるのがとても特徴的。
また、鯛の出汁を途中でいただいて茶漬けにすることができ、この出汁もしっかりしています。
じつはつじ半は、金子半之助という人気天丼屋さんとつけ麺で有名なつじ田のコラボ店なのです。つけ麺ではスープ割りとして出汁が提供されていますが、もともとのスープに負けないようにしっかりした味のものなので、そういったノウハウなのでしょうか。
先月に神楽坂店ができましたが、夜は比較的空いているようで、日本橋より手軽に食べることできそうです。
b:cRe@T0RS
限りなく欲しいものは多いが、もちろん制限はあります。金銭的な制限と、置けるスペースの物理的な制限によって、手持ちのカードは決まっていきます。シンプルな無地が個人的に好きなのも、汎用性の高さが理由の一つでしょう。
そうした制約下では(つまり非常に多くの場合、なのですが)工夫が必要になりますし、だからこそ、着まわしコーデが多くの雑誌に取り上げられる定番特集になるのでしょう。
メンズトラッドファッションに欠かせないブレザーですが、近年はアンコン素材で青みがかかったブレザーがトレンドのように思えます。アンコンのかたが張っていなく、オフの日はTシャツと着回すことができるため、これも着まわしコーデ需要の一つかもしません。青みが強い方がカジュアル感もありますので、どらくらい青が許容されるのか?というの職場と個人の嗜好ですが、黒のようなネイビーよりはロイヤルブルーや青の方が使い勝手はよいでしょう。ジーンズもワンウォッシュのよりも色の薄いものがトレンドのようですし、相性は良いはずです。
ジャケットにはシングルとダブルがあり、圧倒的にシングルのほうが人気ですが、ダブルのほうも往年のゆったりスタイルとは打って変わって最近はスリムスタイルで着ている人も多いようです。女性服もガウチョパンツのようなゆったりスタイルが流行ったりメイクも70〜80年代のような濃いめが来ているようですが、メンズファッションも同じように70〜80年代の復権・アップデートがなされているようです。
そんななか、ダブルジャケットもシングルと同じく短丈スリムで着やすいのですが、やはりスタイルが新鮮なため、より浸透していくのではないと思います。
シャツジャケットスタイルでは個人的にはネクタイがないとしっくり着ませんが、カジュアルなダブルジャケットであればニットタイくらいがちょうどよく、ドレープのしっかりしたタイよりもカジュアル感がありつつも、タイとダブルブレステッドによってドレッシーさも醸し出せると思います。
また、Tシャツと合わせるコーデもシングルと同じように合わせることができます。しかもダブルブレステッドの安定感でシングルの時よりもドレッシーな装いとなる……ようなら気がします。しかし、素材や色、表情がカジュアルなために昔のダブルを合わせたような、スーツの上を休日も着てる印象にはならない。むしろVゾーンが狭いのでシャツやタイの多少の冒険もカバーできそうです。
また、女性に流行っている肩掛けカーディガンをジャケットでやる男性も少なくないと思いますが、ダブルだとより安定感がある肩掛けに。
肩掛けは女性がカーディガンがやっていますが、メンズに「輸入」されたコート+シャツのジャケットなしコーデと同じく輸入される・されつつあるスタイルになる気がします。漫画『ワンピース』の海軍は(作者の任侠映画趣味を受けているのか)肩掛けコートをしていますがあれの延長で考えればそこまで違和感なくできるはずだからです。残暑残る初秋、朝晩は袖を通して、昼は脇に抱えるのではなく、肩掛けというのも良いですね。
この肩掛けダブル、どこかで見たことあるな〜と思うのですが、実は映画寅さんシリーズの寅さんがやっているのがまさにそれ。彼は日本を旅していくわけですがその姿がこのスタイルなんですね。流行は繰り替えすと言いますが、50年くらい前のファッションとして流行っているいま違和感ないリスペクト?スタイルと言えそうです。
ダブルブレステッド誕生の理由はいろいろあったと記憶していますが、船乗りが風除けのために風の方向に合わせて右左どちらも両方止められるためにダブルのボタン配列になったという話や、軍隊制服から発展した説などありますが、歴史性でいうとダブルブレステッドのほうがシングルよりカジュアルな立ち位置にいます。しかしボタンの多さや、身頃面積の広さからか、威厳を醸し出すものでもあるらしく、エグゼクティブや保守的な人が着るイメージも付いている不思議な服です。
世界でダブルブレステッドのファッショニスタとして有名な人はいつもダブルブレステッドと言う人も多く、それだけ魅力がある服なのは確かなのでしょう。
タッセルローファーのようなカジュアルさとドレッシーさが両立できる懐の深さのある服を着こなしていきたいものです。